すごい思考ツール』が話題の広告クリエイター・小西利行さんと、世界をまたにかける連続起業家の孫泰蔵さんがトークイベントを開催。盟友ふたりが本音で語り合った、壁を突破するチャレンジ精神とアイデアを生み出す真髄とは?

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小西利行氏(左)と孫泰蔵氏(右) 撮影・細田忠(文藝春秋)

小西 今日は世界中を飛び回っている孫泰蔵さんに、はるばる東京にお越しいただきました。

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 到着がギリギリになってすみません! まだ息切れがしております(笑)。

小西 非常にお忙しいなかありがとうございます。泰蔵さんと対面でお話しするのはかれこれ4~5年ぶりですが、まず僕らの最初の接点をお話ししておきたいと思います。

 10年くらい前、僕がデビュー作『伝わっているか?』を書いたときに、泰蔵さんが、「すごく面白い」と言ってくださっているのをSNSで知って、「褒めてもらって嬉しい。一度会いたい!」ってつぶやいたら、同時に複数の方から「紹介しますよ」って連絡がきてお会いしたのが最初のきっかけでした。

 そうでしたね。

「言語化やビジョンの提示には何十億もの価値があるのに!」

小西 その後、いくつかのプロジェクトでお仕事をご一緒させて頂きましたが、じつは泰蔵さんのある言葉は僕の人生の転機になっているんです。

 6年くらい前、一緒にご飯を食べに行って、自分の仕事にそんなに価値を感じていないという話をしたことがありました。事業を興して会社を成長させている人や、何か具体的なモノやサービスを作っている人、それこそ農業をしている人たちは0から1を生み出しているのに、自分は「こうしたほうがいいんじゃないか」とアドバイスをしているに過ぎないと。

 その時、泰蔵さんに「本当にわかってないの?」「小西さんのやっている言語化やビジョンの提示は、起業家には何十億もの価値があることなのに!」って叱られて(笑)。そこから自分の仕事に少し自信が持てるようになったんですよ。

 それは確かに叱りますね(笑)。コニタン(小西さんの愛称)が、そんなに長いあいだ自信がなかったのは意外だったけれど。

小西 もともと僕はかなり出来の悪いスタートで、様々な人に会う中で学んできたタイプなので、もちろん商品が売れたり経営者の方と一緒にやった取り組みが成功してきたことはありましたが、自分で価値を生み出している実感があまりなかったんです。

小西利行氏(左)と孫泰蔵氏(右)

 なるほど。実際、小西さんとご一緒したプロジェクトで、子どもたちのための自由な学びの場を運営するVIVITA(ヴィヴィータ)を立ち上げたさい、素晴らしい名前とコンセプトとタグラインを作ってくれました。その言葉で、現場のみんながキラーンと覚醒していく様を、僕は目の前で見ています。子どもたちが、自分たちでTシャツとか作って、「VIVITA最高」とか言っているんですが、これが違う名前や違うコンセプトだったら、こうはなっていなかった。