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神社の脇の急坂を下りて駅に戻る。ホームに立つと聞き覚えのあるメロディが…
神社の脇の急坂を下りて、再び駅前へ。かつては北口しかなかった武蔵溝ノ口駅も、いまではホテルメッツも併設される立派な南口駅前広場ができている。ごちゃごちゃしていた北口の繁華街も見てみたかったような気がするが、やはりこうして南北ともに再開発されたほうが、ベッドタウンとして、そしてターミナルとしての質が高まることは間違いない。
いずれにしても、2本の街道と1本の用水路からはじまった溝ノ口。それがいまの南武線・田園都市線が交差するターミナルとしての溝ノ口にまで繋がっているというのは、なかなか興味深いではないか。この町は、本質的に“重要な交通路が交差する町”として、いまに至るまで歴史を刻んできたのである。
そうして再び、南武線の武蔵溝ノ口駅のホームに戻ってきた。
南武線武蔵溝ノ口駅の発車メロディは、平原綾香さんの「Jupiter」だ。なんでも、平原さんが武蔵溝ノ口駅近くの洗足学園音楽大学在学中にリリースした楽曲とかで、その縁で2024年7月から発車メロディに採用された。もちろん名曲であることは論を俟たない。が、乗り換え客を含めて実にたくさんのお客が行き交うせわしない駅にしては、のんびりしすぎのメロディのような気がしなくもない。
いや、もしかすると、このゆったりとした「Jupiter」の旋律が、気の急いたお客の心を鎮め、無用なトラブルを未然に防ぐことに繋がっているのかも……と思うのですが、いかがでしょうか。
写真=鼠入昌史