後に名作として語り継がれる『卒業式』も2011年キングオブコント当時の結果は7位。さらに2組によるタイマン形式だった2014年には「94対7」という衝撃的な記録を叩き出してしまったラブレターズ。折れそうになる彼らを救ったのは、現在キングオブコントで審査員を務める東京03飯塚の言葉だった――。

「決勝に行くたびに審査方法が変わっていた」と語るラブレターズは、いかにして「審査員の好み」を乗り越えたのか。(全3回の2回目/はじめから読む

塚本直毅(左)と、溜口佑太朗。2008年にはじまった「キングオブコント」をきっかけにコンビを組み、翌年正式に「ラブレターズ」を結成。今年、同大会で優勝を果たす ©杉山拓也/文藝春秋

“レゲエ校歌”が13年経って事実に…

――今年、夏の高校野球で和歌山南陵高校の校歌が話題になっていたんですが、ご存知ですか。

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溜口佑太朗(以下、溜口) ああ。レゲエ校歌ですね。

――「キングオブコント2011」で披露し話題となった、ラブレターズの「西岡中学校」(コント『卒業式』)をモチーフにしてるんじゃないかという。

溜口 モチーフには絶対してないですよ(笑)。

塚本直毅(以下、塚本) モチーフではない、13年たって事実に変わっただけです(笑)。

 

溜口 そういう時代になったというだけでね。

――西岡中学校、ちょっと早すぎたのか……。

溜口 早すぎたというか、13年前はこんなことになるとは思わないですよ(笑)。

「西岡中学校」は飛び道具みたいなネタだった

――若者たちがラブレターズさんのことは知らなくても「西岡中学校」は知ってたりする。ああいう強いネタが最初に世に出てしまうと、そこに引っ張られるつらさもあったのではないかと。

「キングオブコント2011」決勝で披露し話題となった歌ネタ「西岡中学校」(ラブレターズのYouTubeチャンネルより)

塚本 あの頃はありました。僕らの中でもあれは飛び道具みたいなネタで。そもそも歌ネタなんか作ったことなかったんですよ。

溜口 かもめんたるのう大さんがライブのムチャブリで、それぞれのコンビにやったことないスタイルのネタを来月のライブで作ってもらいます、みたいな企画から生まれたんです。

塚本 で、われわれが歌ネタ。そこで無理やり作っただけのものがあそこまで行っちゃったので。

――自分たちのそもそものキャラとは違うものが出てしまった。

溜口 全然違います。その後も求められて歌ネタいくつか作りましたけど、やっぱふわっとしちゃうんですよ。鼠先輩の気持ちがすごい分かりました。

塚本 鼠先輩になるんだ、そうか(笑)。

溜口 鼠先輩あの後に何曲か出したけど、やっぱ当たるわけないじゃないですか。あんなスマッシュヒットの後に。

塚本 本当にあの時期は歌ネタのイメージが付いた状態でライブや番組に呼ばれて、普通のネタやったら「な、なに?」みたいな空気になるのがしんどかった。

溜口 メッチャいいネタ多かったのに、死んだネタも結構ありましたね。2、3年はそのジレンマを抱えた感じでした。

 

――今は「西岡中学校」をどう考えていますか。

塚本 今となっては、ほんと救われた一本です。われわれのことを広めてくれたネタですし、未だにいじってもらえる。今なら全力で歌えます(笑)。

溜口 ラブレターズの「幅」になってくれたよね。歌ネタもできるし、キャラコントや会話のネタもできるやつらだぞと。「五角形のバランスがいい」って評価してもらえる。

――「西岡中学校」は初めての決勝で披露され本当に話題になりましたが、あの年の結果は7位。今回特に「審査員の好み」という側面がフィーチャーされていたように思いますが、おふたりはそのことについてはどうお考えでしょうか。