「審査員の好み」で言ったら…
溜口 そんなのずっと昔からあると思いますよ。好みで言ったら、「キングオブコント2014」はタイマン形式*で、僕ら犬の心さんに「94対7」で負けてますからね。逆に「7人(入れてくれた人が)いるんかい!」っていう。
*「キングオブコント2014」は10組が1対1のタイマン形式でぶつかり、勝利した5組がファイナルステージに進んだ
塚本 7人は好んでいた(笑)。
溜口 誰が見ても犬の心さんがウケていた状態で7入るって、好みでしかない。
塚本 決勝進出した5回とも全部違う審査方法でしたので、身をもって知ってますが、「好み」に左右されるなんて当たり前に受け入れてますよ。参加者側としては、楽しく見てもらえたらいいってだけです。
万人ウケするなんて誰も思ってやってない
溜口 そのことで審査員を攻撃するっていうのは違うよね。みんなそんなつもりでやってない。万人ウケするなんて誰も思ってやってないと思いますよ。
塚本 だからあの大会が一番審査が大変だと思う。マジで種類が違うから。
溜口 好みで言ったら、今まで僕ら一回もハマってないですからね。
塚本 「いやいや、この順番で歌ネタは見たくなかったな」とか言われて、知らんし……みたいにはっきり思いましたし(笑)。
溜口 でも、それも好みだしな。
塚本 それは受け入れなきゃいけないことなので。
――万人に合わせようとするなら、「ジュビロ磐田」は出てこない。
塚本 そうですよ。本当に。もっと分かりやすくしなきゃいけないですよ。
溜口 レアル・マドリードでいいもんね。
塚本 でも、ジュビロがよかったんですよ、それが好みだから。
溜口 そこにようやく気付けたから優勝したのかもしれないね。
コンプライアンスの意識が変わってやれるネタは減った
――審査方法もですが、お笑い界のトレンドみたいなものにも大きな変化がありましたよね。例えば2011年の時に比べたらコンプライアンスの意識も明らかに変わっている。
塚本 やれるネタが減ってきているのは間違いなく事実ですね。今やったら怒られるネタも山ほどあります。でもその中でも、普遍的なものってちょっとだけあるじゃないですか。たとえば家族とか。くぐり抜けられるところを探しつつ……。
溜口 ドングリのネタもいつかできなくなるかもしれない。ひきこもりなんてテーマにしちゃいけないとか。
――ああ。
溜口 でもドングリのネタは「ひきこもり」っていうワードをいかに出さないようにやろうかという話をずっとしていたので。
塚本 言葉にはしてないですね。
溜口 言ったらアウトだし、そもそも冷めるしね。そういったワードをいかに出さずにネタを作るかというのは、塚本さんは考えてるかもしれない。
――「息子の声最近いつ聞いたの?」という夫婦の会話で「そうか、ずっと部屋にいるんだ」とわかる。
溜口 10年ぐらいずっとそれをやり続けてるので、状況説明をせずに会話だけで理解させるというのを審査員の方たちに評価していただけたんだと思います。