東京コントの先駆者、シティボーイズが設立したASH&Dコーポレーションに所属するラブレターズ。「早く売れたい」「でも体育会系は避けたい」2人が選んだ“非吉本”の道の険しさは、そのままキングオブコント優勝にたどりつくまでの年月の長さにもつながる。

 常設小屋のない事務所、「小さくて気持ち悪いから番組に呼びたくない」とまで言われた身長……数々のコンプレックスから彼らを導いた、特別な「靴」とは。苦節16年、ラブレターズがねばってねばって、ねばった先に見えた「残酷ではない未来」を訊いた。(全3回の3回目/はじめから読む

塚本直毅(左)と、溜口佑太朗。2008年にはじまった「キングオブコント」をきっかけにコンビを組み、翌年正式に「ラブレターズ」を結成。今年、同大会で優勝を果たす ©杉山拓也/文藝春秋

出会いは大学、事務所に所属したきっかけは

――ラブレターズさんは養成所を出ていないですよね。吉本でもなく、お育ちがレア。

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塚本直毅(以下、塚本) 出身がよく分からない。どこから出てきたんだっていう。

溜口佑太朗(以下、溜口) 日芸(日本大学芸術学部)で出会って、2008年の「キングオブコント」開催をきっかけにコンビを組んだんですけど、芸人をやろうって正式に「ラブレターズ」を結成したのが2009年。23とか24だったので、そもそも遅いんですよ。なので、養成所に行かないと入れない事務所は全部アウトだねって。所属まで1年かかっちゃうから。あと僕らは体育会系が苦手なので、先輩との付き合いがなさそうなところも条件としてあって。

塚本 探したね~。

溜口 で、もともと塚本さんがシティボーイズさんが大好きで尊敬していたので、ASH&Dコーポレーションに。

 

――そのときの選択は間違っていなかったと思いますか。

溜口 最初は「ヤベえな」と思ったよね(笑)。ASH&Dに行って、早めに「いいね。じゃあ預かりにしよう」みたいになってこれは理想的だと思ったのに、なんと所属まで2年かかってしまった。

塚本 逆に長くなっちゃった(笑)。

シティボーイズからのゴーサインを待っていたが…

溜口 養成所みたいなシステムがASH&Dにはないので、シティボーイズさん、何ならきたろうさんがゴーサインを出さない限りは所属になれないんですよ。

 

――そうなんですね!

溜口 「入れるからにはうちは家族としてちゃんと迎える」って、人柄も見られます。

塚本 一生一緒に飯食えるかどうかみたいなラインで見てもらえる事務所なので。

溜口 だから人数が少ないんです。

塚本 で、査定期間が2年あって。結局本所属になったのは2011年の頭でした。

――本所属になってすぐキングオブコント決勝。

溜口 2年間頑張ってお笑いライブにも出て、ちゃんと結果を出したから所属を認められたと思ってたんですけど、ちょうど同じタイミングで山田雅人さんがASH&Dに入るから「お前らもちょろちょろしてるなら一緒に入っちゃえ」みたいな感じだったそうです(笑)。

塚本 結果とか人柄とか関係なかった(笑)。