壁ドンのために、2人でレンタカーを借りて運び込んで
――先日こたけ正義感さんのYouTube、賞レースの後にいつもネタのリーガルチェックをされている動画を拝見したのですが。
塚本 (決勝ネタの)ドングリをあんなに持ち帰るのは窃盗罪というやつですね(笑)。
――その中で、吉本の芸人さんとそれ以外の事務所の芸人さんは、ネタの作り方も考え方が違うのではというお話をされていて興味深かったです。つまり常設の小屋がある吉本では、いろいろな小道具が常に劇場にあるからそれ込みでネタを作れるけど、他事務所の芸人さんは移動させづらい大きなセットがモチーフになるようなネタは難しい。
溜口 ああ。「これがないからこのネタできない」っていうのは何回もありますね。
塚本 何なら、去年キングオブコントでやった壁ドンのネタ。単独ライブで壁のセット作ったんですけど、それを賞レース用にするってなった時に「壁どうする?」問題が出てきて。劇場の壁を叩くわけにいかないので、あのネタをやる時は毎回2人でレンタカーを借りて、2人で運び込んで、向こうに着いたら壁を組み立てて。
吉本さんだったら、各劇場に何かしら使えるものがあって「あれ発注しといて」で終わるだけなのかなぁとちょっと羨ましかった。
溜口 そうね、レンタカーとかもろもろ含めて1ライブで1万5000円ぐらいかかってた(笑)。マジで決勝行けてよかったんですけど。
塚本 本当に。ずっと赤字でね。
吉本と他事務所では場数が全然違う
溜口 他事務所の芸人同士でたまにしゃべったりすると、「俺たちが決勝行くのをもっと褒めてもらいたいよな」って。
塚本 それね(笑)。
溜口 吉本さんには“常設の小屋がある”というアドバンテージがあるってみんな分かっているし、全然正しいんですよ。だから吉本さんが悪いとかではなく。ただ場数が全然違う。
塚本 舞台数がね。
溜口 他事務所だとそもそも出られるライブが少ない芸人もいっぱいいるので。その状態で決勝行けるまで仕上げてるのをもっと褒めてほしい(笑)。
塚本 それ、本当にみんな言ってたよね。
溜口 だって気持ち悪いですよ。渋谷から幕張までコンビで車で壁運んで。なんでこんなおじさん2人でドライブしてんだ。横にディズニーがあって……。
塚本 きれいな夜景の中ね。
溜口 壁積んで(笑)。何が面白くてやってたんだって思いますもん。
塚本 準決勝を配信で見させてもらった時に、みんながいろんな小道具使ってる中、や団さんが学習机1個だけ使って「居酒屋です」って顔して居酒屋のネタやってたのがかっこよかったもん。「いやいや、それは発注できるじゃない」と思いながら。学習机2つ並べて居酒屋だって言い張ってるの、ザ・ソニーだなと思うよね。
――ザ・ソニー(笑)。
塚本 すごいよ。魂感じるよね。
――ジムに行かず家で自重のみで鍛え上げた人みたいだ。
溜口 そうかもしれない。どっちがいいかというのはないけど(笑)。