「そんな引け目感じなくていいよ。笑い飛ばせばいい」
溜口 「コンプレックスがちょっと楽になりました」って。友達にいじられても別にいいか、みたいな。「深く考えなくなりました」って。
――ああ、努力してるところをいじられたら恥ずかしいみたいな気持ち、ありますもんね。それが「それでも別にいいじゃん」という空気におふたりがしてくれた。
溜口 テッパンでウケるから。「そんな引け目感じなくていいよ。笑い飛ばせばいい」って思えたら強くなります。
――シークレットシューズも優勝前の一つの転機だったのでしょうか。
溜口 ほんとそうですね。みんなから「おめでとう」って言われるような関係性を作れたのもシークレットシューズなので。他事務所の芸人とかと仲良くなれたきっかけになったのもシークレットシューズなので。
塚本 シークレットシューズが距離を縮めてくれたよね。優勝直後のちょっとした隙間時間に、ファイナリストたちが「まず靴脱げよ」って。いやいや、ちょっと待ってよ。お疲れとかなんかあるだろ(笑)。
溜口 「もっとたたえろよ」って(笑)。
なぜラブレターズはねばれたのか?
――今回の優勝で、やっぱり面白い人はちゃんと評価されるということをまたラブレターズさんが証明されたなぁと。でも一方でそれは、やめ時を模索している芸人さんには残酷なことかもしれない。
塚本 どうなんだろうな。確かにねばり勝ちしちゃったんで、ねばり勝ちの未来があるんだと思う芸人はいるかもしれないですよね。
――なぜラブレターズはねばれたのでしょうか?
塚本 それこそ本当に周りの環境のおかげですけど。山里さんやオードリーさんが定期的に声をかけてくれたこと。テレ東の、主にシオプロさんが、息継ぎかのようにたまに呼んでくれるとか。
――息継ぎ(笑)。
溜口 シオプロ制作の番組、『ゴッドタン』とか『チャンスの時間』とか。
塚本 ギリギリ保てる頃にまた呼んでもらって、「まだ呼ばれるんだったらまだいいか」みたいな、それの繰り返し。
溜口 ねばったというよりねばらせてくれたという感じですよね。面白い人たちが「面白いんですよ、この子たち」って言ってくれるんだったら……って、錯覚させてもらってただけかもしれないですけど。でも、ねばれば面白くはなるよね。
塚本 「なにねばってんだよ」から始まるの面白いもんね。
――確かにねばるおじさんは面白いです。
塚本 マジで厄介ですけどね(笑)。
2人が描く、残酷ではない未来
溜口 若い人たちに混じっておじさんがまだ走ってるって面白いですよ。止まったと思ったらシークレットシューズを履いてまた走り出して、「お前、もういい加減にしろよ」だよね。
――すごい。勇気が出てくる。
溜口 だって僕らが死にかけた状態で「西岡中学校」やってたらメチャクチャ面白いじゃないですか(笑)。ベッド横の生命維持装置が「ピコーン、ピコーン」って鳴ってる中で。
塚本 やっぱおもしろいな。ぜんぜん残酷じゃないかもしれない。未来は明るいかもな。
撮影 杉山拓也/文藝春秋

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