治療も、副作用の少ない先進医療が選択肢としてはあったそうですが、保険適用外のため、1回あたり数十万、それが複数回にわたることから、「とても選ぶことができなかった」と話していました。もし医療保険だけでも加入していれば、契約内容にもよりますが、入院給付金やがん診断一時金、手術をした際の給付金などがもらえた可能性があります。
その後、佐藤さんは仕事に復帰できたものの、通院治療があったことから病気前と同じ部署で働くことは難しく、事務系の部署へ異動。それによって年収が100万円も下がったということで、「若いから大丈夫と過信していたけど、保険に入っておけば良かったです」と話していました。
高額療養費制度はあるけれど…
日本は、公的保障が手厚いですし、高額療養費制度を利用すれば、それほど高額な医療費はかからないので、貯蓄があれば、民間の医療保険に加入しなくても良いケースが多いのも事実です。がんの治療も健康保険が適用される治療を受ける限りは、それほど、高額になることはありません。
ただし、一般的にがんになると、手術や入院の日数は短くても、その後の通院や治療には数カ月から数年かかることもあります。その間、がんになる前と同じように働けないとなると、貯蓄がたくさんあっても心許ないでしょう。また、佐藤さんのケースのように自由診療や先進医療の中にもがんに効果があるとされる治療がありますが、費用は全額自己負担になってしまうので、相応にお金がかかります。がんになった際に、治療の選択肢の幅を広げたいならば、がん保険に加入することも検討しておきたいところです。
加入済みで放置している人は契約内容を要確認
がん保険や医療保険を考える際、抑えておきたい点があります。最初に、医療技術の進歩などにより、現在は入院日数が短縮傾向にあること。現在、入院した人の約6割が10日以内に退院しているというデータもあります(※)。そして、ライフスタイルの変化などもあり、通院し、働きながら病気と向き合うケースが多くなってきている点です。