――ごきょうだいの仲は良かったのですか?
高須 はい。僕はふたりの兄が大好きでした。早く追いつきたくて、よく後をついて回っていました。兄ふたりは頭が良くて、いつも難しい話をしていました。小さい頃は、「僕も大きくなれば、兄ちゃんたちの話が理解できるようになるのかな?」と思っていましたが、結局いくつになってもふたりの話は難しいままでした(笑)。
僕が小学校1年生になったとき、一番上の兄は6年生、二番目の兄は4年生で、その1年間だけ3人で登校していたんですよ。同じ制服を着て、同じ道を歩く時間がすごく嬉しかったのを覚えています。
「30歳という若さで旅立っていきました」兄が他界し、自分の人生を見つめ直すように
――しかし、一番上のお兄さんは病気で他界してしまったそうですね。
高須 僕が自宅療養を始めた数カ月後に、兄が救急車で運ばれて、30歳という若さで旅立っていきました。少しずつ意識がなくなっていく兄の様子は、今でも忘れられないし、なんと言葉にしたらいいかずっと分かりません。
兄は、最期まで自分のことよりも人のことばかり考えている人でした。自分ががんになったことはもちろん、兄の存在も、僕の人生について考えるきっかけになりました。
――ご自身の病気やお兄さんの死を経て、高須さんにどんな変化があったのでしょうか?
高須 「永遠ってないんだな」と思うようになりましたね。だからこそ、今を大事にしよう。やりたいことは今すぐやろう。そして、大切な人たちには毎日でも感謝と愛を伝えよう、と思うようになりました。
また、日々の生活に感謝するようにもなりました。「ご飯がおいしいと思えるのって、なんて幸せなんだろう」「緑豊かな自然を見ると、なんて心が癒やされるんだろう」とか。普段何気なく過ごしていた日常が、ものすごく尊いものだって気づいたんです。