最近、先生とお会いする機会があったので、当時のことを聞いてみたんですよ。そしたら、「高須くんはお兄さんたちと違って勉強好きじゃなかったでしょう」と言われました(笑)。その代わりに、野球部に入っていて体を動かすのが好きで、声が大きくてよく通るし、地元が大好きだったから、地域を守る消防士が向いているんじゃないか、と勧めてくれたようです。
――実際に消防士として働いてみて、いかがでしたか?
高須 入る前は「とにかく体力が試される仕事なんだろうな」と思っていたんです。確かにそれも間違いじゃないんだけど、想像以上に同期や先輩、地域の人たちなど、たくさんの“人”と関わる仕事でした。小さい頃から人と関わることが好きだったので、そういった意味では「僕に向いている仕事だな」と思っていました。
由貴奈さん 当時の高須くんは、自分の業務外のことでも自発的に勉強したり、「将来必要になるかも」といって自費で大型免許を取りに行ったりもしていたそうです。きっと本人が思っている以上に、消防士の仕事を楽しんでいたし、やる気に満ち溢れていたんだと思います。
高須 4年目までは地元の消防署で働き、5年目からは119番を受ける部署に異動しました。仕事が変わって大変だったけど、新しいことができるようになって、任されることも増えてきて、毎日充実していましたね。
「体の一部がパンパンに腫れ上がっていた」24歳でがん発覚の経緯
――消防士としてキャリアを重ねていた6年目の頃、がんが発覚したのですよね。
高須 がんが分かったのは2018年10月、24歳のときでした。その前日、幸田町に台風が訪れて119番通報がひっきりなしに鳴り続けていました。やっと自宅に戻る頃にはヘトヘトで、ひと眠りしたところ、体の一部に違和感を覚えて見てみると、信じられないくらいパンパンに腫れ上がっていたんです。
「自分の体に何かが起こっている」と思い、病院に駆け込みました。医師からは、「おそらくがんだから、すぐに大きい病院に行って」と言われて……。何が何だか分からなくて、泣きながら家に帰ったのを今も覚えています。