都電荒川線――。三ノ輪橋から荒川区のほぼ中央を横断し、王子駅や大塚駅を経て早稲田までを結んでいる東京都内を走る唯一の“都電”だ。路面電車というくくりでも、都内には他に東急世田谷線があるだけ。そのため、沿線住民ならずとも多くのファンを持つ路線でもある。

 

「荒川線は荒川線だから」

 と、そんな荒川線に愛称があるのをご存知だろうか。その名も「東京さくらトラム」。昨年4月28日に発表されたもので、以来駅や車両などの至る所にその名が刻まれて、駅ナンバリングの数字も桜の花びら形に彩られるなど、荒川線は“桜一色”に染められつつある。愛称決定から早1年。もうすっかり定着しているのでは……と、町屋駅や三ノ輪橋駅周辺で利用者に話を聞いてみた。

 

「え? ああ、そんな名前みたいね。でも荒川線は荒川線だから」(三ノ輪橋で出会った地元のおじさん)

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「あはは、誰もそんな呼び方してないよ。ずっと荒川線とか都電って呼んでるんだから、いまさらねえ」(同じく三ノ輪橋のおばさん)

「そう言えば聞いたことあります。聞いたことがある、程度ですけど。ああ、駅の隅にも小さく書いてあるんですね。知らなかった」(町屋に暮らす大学生)

「ああ、駅の隅にも小さく書いてあるんですね」

 ご覧のように、サッパリの知名度なのである。