「なんで注意しないんですか」「しつけがなってない」と指摘されることも…
――湊さんのことを公表したことでどんな反応がありましたか。
倉持 もっと誹謗中傷がくるかなと思ってましたけど、9割5分、ポジティブな反応でしたね。本当にありがたかったです。一方で、発達障害を理解してもらうことの難しさも感じていて。
――具体的にはどういったことでしょうか。
倉持 もし足に障害のある子だったら、「歩かせればいいじゃないですか」とは言わないですよね。でも、発達障害は目に見えないぶんわかりにくくて、「なんで注意しないんですか」とか、「しつけがなってない」みたいになりがちなんです。
――湊くんの行動で周りから注意を受けることがあると。
倉持 湊がずっとソファの上で飛び跳ねるので、半年でソファがダメになってしまったことをSNSに投稿したら、「飛び跳ねさせなければいいのに」とか、「うちは3人子どもを育ててるけど、みんな聞き分けがいいのでものが壊れたことなんかありません! 躾がなってない!」みたいなリアクションがあって、グサッと刺さりました。
飛び跳ねてるときの息子はとても幸せそう
――飛び跳ねるのも、湊くんの特性のひとつ?
倉持 自閉スペクトラム症の子は足の裏の感覚が鈍いことがあるようで、刺激を求めて飛び跳ねたりするんです。それで気持ちが落ち着く子もいるみたいで、たしかに湊も、飛び跳ねてるときはとても幸せそうなんですよね。
あと、テーブルにもよじ登ってしまうんですよ。だから、一時期は家の椅子を全部横に倒して遠くに置いて登れないようにしたんですけど、それもすぐに全部攻略されちゃって。ちゃんと椅子を縦に戻して、ズリズリ引っ張ってきて登るんです。パパ譲りなのか攻略が上手いんですよ(笑)。
――発達障害について知識がないと理解されにくい特性があると。
倉持 定型発達の子だったら注意も聞けるかもしれないけど、知的な遅れもある湊にはなかなか厳しいですね。もちろんダメなことをしたときは「ダメだよ」「◯◯しないでね」と注意はするのですが、逆上して引っ掻かれたり髪を引っ張られたりしちゃうんです。フルパワーで来るので普通に痛いんですよ。
飛び跳ねるのが至福の時間で、湊らしくいられる時間なのかなと思うのと、危なかったり、他の方に迷惑がかかることでなければなるべくやらせてあげたいなとは思いますね。