――倉持さんに家事を求めることもないけど、自分も率先してはやらないと。
倉持 そうですね。結婚前、夫は他のゲーマーの方と共同生活をしていたんですけど、ゲームに負けた方が家事をする取り決めだったらしく、強かった夫はほとんど家事をせずにきてしまったみたいで、結婚するまでTシャツのたたみ方も知りませんでした。
というかそもそも、「洋服なんて洗って乾かしたらそこから着ればいいじゃん。なんでたたむ必要があるの? 無駄じゃない?」みたいな“効率厨”なところも大きいですけど。
「ゲームセンターでよく遊んでて…」夫・ふ~どさんと交際した経緯
――ふ~どさんとお付き合いするようになったきっかけは?
倉持 15年くらい前、格闘ゲームのイベントで板橋ザンギエフさんというプロゲーマーの方の紹介で初めて会って。私がそのとき一目惚れしたんです。
――ゲームしている姿がカッコよかった?
倉持 それももちろんカッコいいんですけど、見た目が好みだったんです!(笑)。その後も、「中野TRF」という中野ブロードウェイにあるゲームセンターでよく遊んでて、帰りも地元の船橋まで総武線が一緒だったのでよく喋るようになり、交際に至りました。
夫は今年39歳ですが、今でも世界レベルの最前線にいるのですごいなあと。恋心って数年で消えるものだとは思うんですけど、15年経ってもずっと根底に夫への尊敬の気持ちがあるので、頻繁に惚れ直してます(笑)。
「倉持さんが公表してくれて励みになります」という声も
――子育てや仕事で大変な日々かと思いますが、どんなことで息抜きを?
倉持 絵を描くのが好きなので、ハッシュタグ「#みなとえにっき」って付けて、X(旧ツイッター)を更新することですかね。
自閉スペクトラム症の子を育てている親御さんからコメントをいただくようにもなって、「誰にも言えなくてずっと苦しんでたけど、倉持さんが公表してくれて励みになります」みたいなメッセージもらえると本当に嬉しくて。辛い時は、そういう嬉しかったDMをずっと見返してます。
――親御さん同士で交流ができたんですね。
倉持 はじめはすごい孤独感を感じたんです。ママ友の中にも同じ障害を持っている子はいなかったし、この先うちはどうなるんだろうとかでいっぱいいっぱいになっちゃって、未来に希望を持てない状況になっていました。
そんなとき、ひたすら自閉スペクトラム症の漫画や小説、コラム記事とか、いろんなものを読み漁って、すごく救われたんですよね。当事者の方や親御さんが書かれた本を読むと、「うちだけじゃなかったんだ」というのがわかって、何より励みになりました。
――同じ悩みを持つ人がいることが心の支えになったんですね。
倉持 「ずっと言葉が出なかったけど、小5になってぽつぽつ会話ができるようになりました」とか、皆さんの経験談でこの先に希望が持てたのはありますね。
湊はこの先どうなるかわからないんですけど、ふさぎ込むんじゃなくて、私たちなりのベストなかたちを探していきたいなと思っています。
〈つづく〉
撮影=杉山秀樹/文藝春秋