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『ドラえもん』役を得てからの大山さんはまさに国民的な存在で、テレビ出演も増えていった。『ドラえもん』と同じテレビ朝日で毎週日曜日のお昼に放送されていた『大正週間漫画 ゲラゲラ45』では、小料理屋の女将をアフロヘアーで演じた。

 そこで大山さんは意外な(?)料理の腕前を披露し、毎週繰り出される気の利いたお通しが話題になり、レシピ本まで出版している。表紙は藤子・F・不二雄先生の描き下ろしである。

若かりし頃の大山のぶ代さん ©️時事通信

 ある日曜日、大山さんと砂川さんが2人でその番組を見たことがあり、砂川さんは驚いたという。

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「おい、なんだよこんなシャレたつまみが作れるのかよ!? うちじゃあこんなうまそうな料理を出してくれたことがないじゃんか。ベンジャミン伊東(大山さんの小料理屋に通うサラリーマンを演じた伊東四朗)にばっかこんなうまそうなもん喰わせやがって!」

 そう言うと、大山さんは「わかったわよ。今度作ってあげるから」と答えたという。

「そんなこと言って結局とうとうテレビと同じメニューは作ってはくれなかったんですけどね。その代わりもっと美味しい酒の肴を作ってくれました」(砂川さん)

「うちにおばけを連れ帰って来てやしないでしょうね?」

 大山さんは2度出産しているが、最初の子どもは死産、2人めが生後3カ月で亡くなってしまい、以後子どもは作らなかった。それでも2人の関係はずっと良好だった。

 あるとき、砂川さんが司会を務めていた日テレ系の『お昼のワイドショー』で、心霊現象の企画を扱った日があった。大山さんは自宅でその番組を見ており、その夜帰ってきた砂川さんに持っていたテーブル塩をすかさずパッパッと振りかけた。

©文藝春秋

「ペッペッ、いきなり何すんだよ?」と砂川さんが言うと「うちにおばけ(幽霊)を連れ帰って来てやしないでしょうね?」と真顔でひと言。

 砂川さんが「大丈夫だよ、ちゃんと霊媒師みたいな人がいて、お祓いもしてもらったから」と答えると、大山さんはにっこり笑って「ああだったらいいわ、上がって!」と答えたという。

 砂川さんはその時のことを振り返りながらペロッと舌を出し「じつはお祓いなんてしてもらってないんですけどね(笑)。そのあと、特に(心霊現象的なことは)何も起きませんでしたし」と笑っていた。