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幼少期は読書嫌いだった

――一方で、作家という職業への興味はいつ頃からあったのですか?

秋谷 高校生の頃から、漠然と憧れていましたね。大学受験で進路を決めるときも、人と関わるか、文章に関わるかで迷って、結果的に人と関わることを選び、看護師を目指したんです。

――小さい頃から本はよく読まれていた?

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秋谷 それが、子どもの頃は読書=お勉強のイメージであまり好きではなかったんですよ。私の読書デビューは高校生くらいで、きっかけは教科書に載っていた夏目漱石の『こころ』や安倍公房の『赤い繭』といった日本文学の名作でした。日本文学って面白い! と衝撃を受けて、芥川龍之介や太宰治など有名な作家の代表作をざーっと読みました。文章を書くのも、小さい頃は大の苦手で……。でも、本を読み始めたおかげか、高校生の頃は小論文が一番の得意科目になっていましたね。

――創作も高校時代からなさっていたのですか?

秋谷 いえ、看護師になってからです。創作といっても、数千字くらいの、ショートストーリーを2つ書いただけですが……。看護学校時代は、二度と経験したくないくらい忙しくて、本を読む時間すらなかったんです。看護師になってからも、最初の数年は仕事に慣れることに必死で、創作どころではありませんでした。ただ、頭の片隅に「書きたい」という気持ちは常にありましたね。

秋谷りんこさん

――メディアプラットフォームnoteへの投稿は2020年から始められています。

秋谷 看護師の仕事は大好きで、一生続ける気でいたのですが、30代前半で大きく体調を崩して、辞めざるをえなくなってしまったんです。退職後数年はベッドから出られないくらい状態が悪くて、本や漫画を読むこともできなかったし、テレビもスマホも見れなかった。ご飯も食べられなくて、眠れないし……もうどん底でしたね。しばらく療養して、少しずつ読書ができるようになって……外出は難しかったので、家でできることはなんだろう?と考えたときに、自然と「書こう」という気持ちが湧き上がってきました。

 ちょうどその頃、バイク川崎バイクさんが、noteの投稿を基にショートショート小説集『電話をしてるふり』を出版されていたんです。他の投稿サイトは、異世界転生ものや、なろう系が多くて、私の書きたいジャンルとはちょっと違うな、と思っていたのですが、noteならショートショートも書籍化できるんだ! と嬉しくて。もちろん川崎さんは著名な方なので、素人の私とは前提が違うのですが、大きなきっかけになりました。

――noteには小説のみならず、エッセイもたくさん投稿されていますよね。

秋谷 2021年にnote主催のエッセイコンテスト(チームブリヂストン×note「#挑戦している君へ」投稿コンテスト)でグランプリを頂きました。そこでフォロワーさんが一気に増えて、

 自分の文章が多くの方に届く経験をしました。とても嬉しかったですね。

 はじめて長篇小説を書いたのも、2021年です。講談社さんの「小説現代長編新人賞」へ応募して、一次選考に残りました。そこからは、毎年最低1本は長篇を書いて応募していました。