2018年の渋谷ハロウィーンでは、狂乱する群衆が軽トラックを横転させ、複数の逮捕者が出た。騒動を受け、渋谷区は2019年から条例でハロウィーンの時期における渋谷駅周辺での夜間路上飲酒を禁止し、以来、年々規制が強まった。
とはいえ、2022年時点では「遊びに来るなとは言いたくない。ルールを守って楽しんでもらいたい」(長谷部健渋谷区長)と、融和を意識したともとれるメッセージを発していた渋谷区。そこから態度を一転させたのが2023年だった。「今年は『【注意】渋谷はハロウィーンイベントの会場ではありません。』と世界に明確に伝えたいと思います」(同上)と強硬な姿勢を見せ、過去に行った規制に加え、ハチ公前周辺の封鎖にまで踏み切った。
結果、2023年の渋谷ハロウィーンは、ピーク予想来街者数が6万人だったにもかかわらず、実際に渋谷を訪れた人々が1万5000人にまで激減。
そして2024年の秋、渋谷区長は、「迷惑な路上飲酒や騒ぐのではなくルールを守って過ごすよう心がけてほしい。街を訪れる皆さんには、地域の文化や環境を尊重し、サステナブルな行動を心がけてほしい」という声明を発し、前年に劣らぬ、いや前年以上の規制を行った。
それでも、狂騒を求め、渋谷に集う人は数多い。
「規制してもこれかー」
音ゲーを嗜む「スラッシュ」さんは、ナンパされたいという目的でセーラーサターンのコスチュームに身を包む。
「今年で渋谷のハロウィーンに参加するのは10年目くらいです。注目される服装を選んではいるんですが、でも、いつも『一緒に写真撮ってください』で終わってばかりで、そこからは……。あ、でも、昨年は連絡先交換もできましたね」
恋路の詳細はわかりかねるが、長年渋谷のハロウィーンに足を運んでいるスラッシュさんは、さまざまな事件、事故を目の当たりにしてきたのだとか。
「軽トラの横転事件も見ていたんですよ。他にも、まったく規制がない頃は、酔っ払っているのかわかりませんけど、奇声を上げながら疾走してくる人にぶつかられたこともありました。今のような規制は絶対に必要だと思っています」
一方、数多くの男性から写真撮影を求められていた、ももさん(25)、なるさん(22)は、渋谷ハロウィーンの規制に対して、異なる見方をしていた。