アリ・アッバシ監督&トランプを知り尽くす脚本家ガブリエル・シャーマンが明かす、本作の意義とは?
監督はこれまで様々な問題作を描き、そのすべてがカンヌ国際映画祭に出品され、本作もカンヌ国際コンペティション部門で高い評価を得たアリ・アッバシ。アッバシは2人の師弟関係について「どんな関係においても、変化を遂げるのはあくまで両者だ。ロイ・コーンとの関係でトランプだけが変わったのではなく、コーンもまたトランプと関わることで変わる。トランプをどう思うかは関係なく、観る人にはこの変化を体験してほしいと思っている。この映画は、イデオロギー論争を巻き起こそうというのではなく、人間の複雑さを描いている。」とコメント。
脚本は長年トランプ前大統領を取材してきた政治ジャーナリストでもあるガブリエル・シャーマン。ニューヨーク・オブザーバー紙不動産担当の駆け出し記者だった頃から、長いキャリアで蓄積した人脈を活かしてトランプの取材を続けたシャーマンは、トランプが選挙期間中も大統領就任後も「メディアを使ってニュースに自分の名前を出し続けろ、それが権力を掌握する1つの方法だとトランプはコーンから教わったんだ」とコーンから学び取った戦略を遂行していることを知ったと話す。「(観客は)トランプを激昂しやすく、人を不快にさせる男を演じる役者のように感じるだろうが、トランプ自身、そんな役どころを長いこと演じているうちに、とうとうそれが彼のアイデンティティになってしまったんだ。駆け出しの20代の頃は前のめりの野心家には違いないが、どことなく自信のない感じで、僕らの知る今のトランプとは正反対だ。」とその印象を語る。
そして「人生で大事なことは勝つこと以外にないと思っている人がどうなるか、『THE APPENRENTICE』は警告を発していると思ってくれたらいい。」とトランプの価値観こそ危ない倫理だと声明を出してる。
【STORY】20代のドナルド・トランプは危機に瀕していた。不動産業を営む父の会社が政府に訴えられ、破産寸前まで追い込まれていたのだ。そんな中、トランプは政財界の実力者が集まる高級クラブで、悪名高き辣腕弁護士ロイ・コーンと出会う。大統領を含む大物顧客を抱え、勝つためには人の道に外れた手段を平気で選ぶ冷酷な男だ。そんなコーンが“ナイーブなお坊ちゃん”だったトランプを気に入り、〈勝つための3つのルール〉を伝授し洗練された人物へと仕立てあげる。やがてトランプは数々の大事業を成功させ、コーンさえ思いもよらない怪物へと変貌していく……。
INFORMATION
監督:アリ・アッバシ
脚本:ガブリエル・シャーマン
出演:セバスチャン・スタン、ジェレミー・ストロング、マリア・バカローヴァ、マーティン・ドノヴァン
2024年/アメリカ/英語/123分/カラー/ヴィスタ/字幕翻訳:橋本裕充
配給:キノフィルムズ
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