「乗り超えること以上にやりたいことがたくさんある」と明るく語る元SKE48メンバーで、現在も名古屋でタレント活動を続ける矢方美紀さん。今年4月に乳がんであることを公表し、5月からの抗がん剤治療を前に、「がん患者の病人」ではなく、ひとりの「矢方美紀」という存在を発信していきたいと話してくれました(全3回の3回目/#1#2より続く)。

矢方美紀さん

私は確かに乳がんですけど、ずっと気にしながら生きているわけではない

──乳がんを公表して、うれしかったことはたくさんお聞きしましたが、逆に苦しかったこともありましたか。

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矢方 結構ポジティブに考えるのであんまりないんですけど、病気に対して「かわいそう」って思われがちになっちゃったなっていうのはあります。自分で乳がんになりたくてなったわけじゃないですけど、なってしまったからには病気と前向きに向き合って治していくしかないと思って、日常のこととかもSNSにアップするようにしていたら、何を書いても「すべて病気だから」と理由づけられてしまうことがあるのは、ちょっと違うなって思います。

 

──「がん患者」という肩書きなしの「矢方美紀」を見てほしい、と。

矢方 私は確かに乳がんですけど、ずっとそれを気にしながら生きているわけではないので、全部病気に関連づけて見られると苦しくなります。たとえば仕事で落ち込んで、気持ちが下がったブログを書くと「病気だからだよね」「病気なんだからムリしないで」とか言われてしまうこともあって、「そうじゃないのに」と思ったりします。それと、「病気に負けず頑張れ」って言ってくださる気持ちはすごくうれしいんですけど、そういう言葉をかけていただかなくても頑張っているから、それも察してほしいなって思うことはありますね。

がん保険に入っていて、よかった

──女性が婦人科の病気になると、本人より母親がパニックになるケースも多いと聞きます。病気のことをご家族にはいつ打ち明けたのですか。

矢方 隠すことでもないので、すぐ連絡しました。もともと密にコミュニケーションを取る習慣がなく、「フィーリングで察して」みたいな家庭なので、サラッと「乳がんかもしれない」って連絡したんですけど、てきぱきと入院や手術の準備をしてくれて助かりました。

 うちの親はすごく心配性なので、心の中では心配だったと思うんですが、急に叫んだり泣いたりせず黙々と手続きをしてくれたのはありがたかったです。あと、母は以前保険の仕事をしていたので、がん保険の加入手続きを事前に済ませていてくれて、それは本当にありがたかったですね。自分では全然わからなかったんですけど、保険に入っているのといないのとでは、全然違うんですよね。「保険に入っていたことは、よかったと思って」と母にも言われました。