近年、YouTube上でなぜか増加中なのが「搾乳(さくにゅう)動画」。驚くべきは、その再生回数でなんと700万再生を超えるものも。YouTubeで今何が起きているのか? そして、この状況はいつまで続くのか? ITジャーナリストの高橋暁子氏がその背景を解説する。

なぜYouTubeで「搾乳動画」が大量投稿されるのか? 写真はイメージ ©getty

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 近年、YouTubeなどのSNSで増加傾向にあるのが、子どもに乳をやるために使われる「搾乳機(さくにゅうき)」の動画だ。執筆現在、YouTubeで「搾乳機」と検索すると、なぜか若い女性のサムネイルばかりが並び、軒並み再生数が多い。

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 たとえば今年夏に投稿された、搾乳機の使い方をレクチャーするとうたう動画は、なぜか再生回数は700万回以上。実際に動画を見てみると、通常なら禁止されているはずの女性の乳房が映っており、コメント欄に並ぶのは男性の、それも性的なコメントばかりである。いったい何が起きているのか?

「搾乳動画」が量産される理由

 YouTubeには以前から搾乳の仕方を教える動画は多数あった。しかしその多くは、服を着たうえで説明したり、赤ちゃんの正しい抱き方について解説したりと、どれも教育的なもの。再生数は数千回程度とそう多いものではなかった。

 一方で、冒頭で紹介した700万回以上再生された動画の女性は、子を持つ母親でもなく、もちろん母乳が出るわけでもなく、助産師でもない。当事者でない女性が、ただ乳房をあらわにして、搾乳機を使って見せる動画を投稿しているだけなのだ。

 彼女は何者なのだろうか? YouTubeに書かれたプロフィール欄を見ると、普段はほかのSNSなどでセクシーポーズや下着姿の写真を投稿している。また別のアカウントでは、アダルト系の有料サイトにまで誘導するケースまで見られた。

 となると、前述したように男性のコメントばかり並ぶのも納得だろう。これらの授乳動画のターゲットは子育てに悩むママではなくて、性的な欲求を刺激したい男性たち。通常なら数千回程度しかない再生数が、その数千倍以上に膨れ上がるのもわかる。

 しかし一方で、性的なコンテンツに対してYouTubeは、利用規約を作るなど厳しく取り締まっている。なぜこうした搾乳動画はこの網の目から逃れているのだろうか?