日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」。最新号から、ダイジェストで紹介します。
★船井破綻の内幕
船井電機(原田義昭会長)が、10月24日に経営破綻した。
苦境が明らかになったのは今春のこと。同社は昨年4月、経営多角化と称して、脱毛サロンチェーン「ミュゼプラチナム」の運営会社を傘下に入れた。だが、ミュゼが約22億円の未払い債務を抱えていることが判明。相手先は藤田晋氏のサイバーエージェント系のサイバー・バズ(髙村彰典社長)だった。サイバー・バズは債務支払いを求める裁判を起こしたが、その過程で、船井電機は、持株会社の船井電機・ホールディングスが持つ船井電機株を仮差押えされた。会社ごと借金のカタに取られるような情況に陥ったのだ。
かつて船井電機は低価格を武器に、中堅メーカーとして存在感を示した。一介のミシン問屋から会社を成長に導いた創業者の船井哲良氏は立志伝中の人物。だが2000年代以降、さらなる低価格を掲げた中国・韓国のメーカーを前に劣勢を強いられる。05年に元大蔵官僚の中島義雄氏を顧問に招聘するなど、経営のテコ入れを図ったが、奏功せずジリ貧状態となった。
船井氏は17年に死去。長男・哲雄氏は医師の道を歩んでおり、後を託せる人物もいなかった。21年、哲雄氏は相続した船井電機株のすべてを売却。引き受け手は、大手コンサル会社出身の上田智一氏が経営する中小出版社・秀和システムで、この時、船井電機は非上場化された。その上田氏による、不可解な多角化路線が混迷を招いた。
多額の未払い債務が発覚した前後から、船井電機は激しく役員が入れ替わった。3月から4月にかけ生え抜き役員は櫛の歯が欠けるように次々と辞任、かわって5月に入ってきたのは電機業界とは無縁の関西方面の金融関係者たち。10月初旬になり、またしても役員の大幅入れ替えが明らかとなる。社長の上田氏が辞任、会長に元環境相の原田氏が就任したのだ。《続きは「文藝春秋 電子版」に掲載されています》
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船井電機ホールディングスの代表者名を間違えて記載しておりました。訂正いたします。(2024年11月13日15:00追記)
※この記事の全文は、「文藝春秋」2024年12月号と「文藝春秋 電子版」に掲載されています(丸の内コンフィデンシャル)。記事の見出し一覧は次のとおりです。
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