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安全管理が徹底され、乗員にも緊張が。

 かくして海上自衛隊からは事前に耳栓を準備するように言われた通り、アメリカ西部時間1430(ヒトヨンサンマル)時、F-35Bのすさまじい咆哮が太平洋上の「かが」飛行甲板に響き渡った。数少ない我々報道陣一人一人に安全のため「かが」乗員がつきっきりになって、安全管理が徹底される。エンジンが回ってないときでさえ6m以内の接近が禁止されているが発艦準備が始まるや、われらにつきっきりの「かが」乗員にも緊張がみなぎる。

©宮嶋茂樹

 イヤーマフ越しにさえ聞こえるほどの大声を張り上げ「もっとさがってください!」「ゴーグルをしっかり装着して!」とそこかしこで大声を張り上げる。持参した耳栓に加え、ヘルメットに付いたイヤーマフさえも突き抜ける轟音は27トンの機体を持ち上げるF135エンジンのうなりである。

 生暖かいダウンウオッシュの強風が我が身を吹き飛ばすように打ち付ける。黄色いベストを背負ってF-35Bの周りに控える米海兵隊発艦クルーが次々にサムアップし、安全確認を終え、発艦準備が整ったことをパイロットに伝えるや、機体後部下部から白煙と陽炎が立ち上がり機体はゆっくりゆっくり艦首に向かって進み始める。この点がほんの2秒で燃料、武装満載で30トン以上のFA-18戦闘攻撃機を300kmで飛び出させる蒸気カタパルトを備える原子力空母と、機体単独で発艦していくSTOVL機とカタパルトを装備しない「かが」との違いである。

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無事発艦を成功!

 4基ものカタパルトを装備する原子力空母ほどとまではいかないが、この日「かが」からも続けて2機目のF-35Bが無事発艦を成功、飛行甲板を離れた2機のF-35Bはまるでバーチカルテイクオフのごとくの高角度で真っ青な太平洋の空高くに消えていき、その数分後には2機編隊で「かが」上空を轟音とともにフライパスし一瞬でこれまた大空彼方に消えていき、その高機動力をまざまざと見せつけた。これでレーダーに映らんというのやから、中国にとってはこの「かが」とF-35Bの存在は日本侵略への大きな障害となるは必定であろう。

©宮嶋茂樹

 このF-35Bも来年度までに航空自衛隊にも18機が配備され、新田原基地にはあらたにF-35Bだけの専門飛行隊まで創設でき、間もなく翼に日の丸を輝かせたF-35Bが「かが」から発艦するシーンも目の当たりにできるはずなのである。