安倍からトランプへの贈り物
トランプは言った。
「我々が、大統領と首相でいる限り、日米関係は盤石です。ところで、次の選挙はいつですか?」
「衆議院議員の任期は2年残っています。自民党総裁としての任期も2年残っています」
会談は1時間半に及んだ。途中、何度も笑いが洩れ、和やかな雰囲気に包まれた。
安倍は部屋の外で待機していた鈴木浩首相秘書官を呼び寄せた。
鈴木は大きな細長い箱を抱えて入って来た。開けたところ、金ぴかのドライバーが出てきた。本間製である。
「ん?」
トランプはやおらそれを手に取ると、エントランスホールのところで構え、ワッグルして見せた。
トランプは安倍を見送るため、下りのエレベーターに一緒に乗った。
「トランプ次期大統領は大変なゴルフ好きでいらっしゃると聞いていますが、私もゴルフが大好きです」
「トランプにとってあの金のドライバーは最高のギフトだった」
「それはいいことを伺った。ハンディはいくつですか?」
「18です。あなたのベストスコアはいくつですか?」
「66」と言って、トランプは笑った。「たまたま運が重なっただけの話です。ぜひ、一緒にやりましょう。パームビーチでもドラルでもどちらでも。ターンベリーでもいい。あそこも私が所有しているコースです」
スコットランドのターンベリーは全英オープンを開催する名門コースの一つである。
安倍を送り出した後、トランプは安倍から贈られたドライバーを再び、手にし、満足そうに眺めた。
「トランプにとってギフトはすごく大きな意味を持つのだが、あの金のドライバーは最高のギフトだった」
フリンはそう振り返った。