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メルカリの「個人間の取引には関与しない」という方針は、これまではリスク回避策であったかもしれないが、詐欺行為が蔓延し始めている現在では、その方針自体がリスクを誘発するに至っている。

今回のトラブル、およびそれに触発されて多くの人が不満を吐露しているトラブルは、真っ当な利用者間の紛争ではなく、詐欺行為によるものである。「個人間の取引には責任は負わない」ということで済まされる問題ではない。

上記のようなことを考えると、サポートを途中で打ち切り、補償をしないという対応を取ったことも悪手だった。「当事者間での解決が不可能」と考えた出品者が、SNSに投稿するに至った。上記の2の対応が、3を招いてしまったのだが、これによって第三者も巻き込んでいく結果となってしまった。

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メルカリ側が出品者に対して誠実な対応を取っていれば、ここには至らなかったはずである。

「個別事案の責任は負わない」は許されない

批判を受けてメルカリ側が補償を行ったことは「対応を改善した」と言えるのだが、出品者も納得はできていないし、多く人が「手のひら返し」と受け取っている。事ここに至って求められているのは、個別事案の対応ではなく、顧客との向き合い方の改善であり、不正行為への厳格な対応であるから、それで沈静化しないのも当然と言えば当然である。

同様のことは他のプラットフォーム事業者でも起こっている。闇バイトの募集が多数掲載されている疑惑が浮上したスキマバイトサービスの「タイミー」にも、掲載前のチェックを怠っているという激しい批判が巻き起こった。また、著名人になりすましたSNS偽広告による投資詐欺に関し、FacebookやInstagramを運営するメタ社が集団提訴されるという事態も起きている。

プラットフォーム企業の利用者の管理や利用者間のトラブル対応の甘さが相次いで露呈しているが、それに対して十分な対応が講じられているとは言いがたいのが現状だ。