メルカリ同様、詐欺行為が横行する中で、「自分たちは仲介しているだけだから、利用者間の取引には責任を負わない」という態度は許容しがたい。
「コメントは差し控える」という誤った回答
メディアからの取材対応は、広報部門における重要な仕事だ。取材依頼を断ったり、質問への回答を控えたりするほうが適切な場合もあるが、今回「コメントは差し控える」という回答をしたことが適切であったかは疑問だ。
コメントができない場合も、「プライバシーの保護のため」「事実関係が明らかではないため」といった理由が示されているのであれば、多少なりとも納得できるのが、そうでないと「何か隠しているのではないか?」という疑いを持たれかねない。個別案件についてはさておき、「対応方針」についてもコメントを控えるというのは、さすがに不誠実という印象を与えてもやむを得ないだろう。
事実関係が明らかになっていない、あるいは公表できないとしても、「現在、調査中です」「事実関係が明らかになり次第公表します」「(当事者とは)現在個別にやり取りを行っております」といった程度のことは言えるはずだ。
さらに、具体的な対策は現段階で言えないとしても「再発防止策を講じる」「被害を受けた方には補償を検討する」といった意思表明はできたように思う。そうすれば、炎上は多少なりとも収まったのではないかと思う。
メディアの批判は、報道に先んじて間違ったことは謝罪をし、対応策を発表することで、封じることができる。実際、国民民主党・玉木雄一郎代表は不倫報道を受けた直後に記者会見を行い、事実を認めて謝罪をしたため、批判を最小限に抑えることに成功している。
「スタートアップの呪縛」から抜け出すべき
メルカリは2017年にも大きなトラブルに直面していた。現金や電子マネーが相次いで出品され、額面以上の金額で取り引きされていることで大きな批判を浴びた。盗品や規約違反の商品の出品も相次いでいた。同社は人員が不足する中で、監視と削除を行った。