エッセイストの能町みね子さんは、ライターのサムソン高橋さんと恋愛の絡まない「(仮)」の結婚をして、その生活を元にした自伝的小説『結婚の奴』を上梓した。
ここでは『久保みねヒャダこじらせナイト』などを通じて、能町さんと昔からの知り合いであるという岡村靖幸さんの『幸福への道』から二人の対談の一部を抜粋して紹介。岡村さんが「結婚(仮)」に至った能町さんの恋愛観や「子を持つ」という選択肢について考えていることなどを訊いた。(全4回の2回目/続きを読む)
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恋愛はめんどくさい
岡村 つまり、仕事のパフォーマンスを上げたいという気持ちもあったから、結婚しようと思った。
能町 完全にそうです。精神的に安定したいというのが大きかった。あと、今後恋愛があるかも? と思うのがイヤになったということも大きくて。
岡村 能町さんの過去のインタビューを読むと、恋愛に関して、「アタックされるけどうまくいかない」とよくおっしゃっている。
能町 今回、結婚の経緯を本(『結婚の奴』)に書いたとき、その辺を突き詰めて考えたんですけど、そもそも私は、人をそんなに好きになったことがないんですよ。恋愛という意味で。みんながよく言うような、「いつも一緒にいたい」とか「夢中になる」とか「誰かに取られたくない」とか、そういった強い気持ちを持ったことがあんまりなくて。それがずっとモヤモヤしていたというか。
岡村 能町さんの幼少の頃のエピソードを読むと、子供の頃からそうだったと書いてましたね。好きとか愛してるとかがメインのJ-POPがピンとこなかったと。
能町 それはそうですね。
岡村 生来そういう感じということですか? それとも、たまたま、夢中になれる人と出会えていないということですか?