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能町 あー。まあでも、ちょっとわかるかなあ。なんでみんな子供が欲しいのかなというのは最近よく考えるんです。最近はいろんな結婚のカタチがあるじゃないですか。私は男から女になったので妊娠はできないですが、女から男になって、女の人と結婚して、友達の精子で妊娠して、子供を迎えた夫婦が知り合いにいるんです。でも、そんなのはっきり言って無茶苦茶めんどくさいなと私は思ってて。養子を迎えるとなっても、資格が大変じゃないですか。

岡村 大変です、日本では。

能町 そういうのを見ると、そこまでして子供っている? っていう気になるんですよ。別に否定するわけではなく、それを突き詰めていくと、よくわからなくなってきて。家を継ぐためというのも、いまの時代はあんまりないし。

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©文藝春秋

「自分の子供がほしい」に至る理由

岡村 自分の子供がほしいというのは、ロジックじゃないんだと思うんですよ、男も女も。本能としてあるものじゃないですかね?

能町 そうはいっても、人間だから理性がある。なのに「作らなきゃ」に至る理由はなんだろうと。

岡村 遺伝子情報の第1番目に書いてある最重要項目だからじゃないですかね? 

能町 種の保存?

岡村 種の保存は遺伝子情報の最重要ワードですよ、人間もアリもキリギリスも、どんな生き物も。

能町 とすれば、弱くない? って思いません? 結果、保存しない人も結構いるし、そのキャリア女性たちも自分の子じゃなく養子でいいと思ってしまう。それが最重要ワードなら、女性はみんな子供が作りたくて仕方がなくなるはずだけど、そうはならないし、少子化になってる。子供を産むという欲望は、人間の理性ぐらいで抑えられるんだと。それも不思議で。