岡村 確かに。文明が進めば進むほど少子化も進んでいく。
能町 そう考えていくと、「子供がいたら面白いから」とか「生活が変わるから」とか、言ってみれば親のエゴなんですけど、「だから産む」んじゃないかなと思うんですよ。種の保存というよりも。
岡村 それは言いかえれば、子供以外に面白いことがあれば産まなくなるということですよね。働くことや、自分で何かをクリエイトすること、子育て以外の面白いことがあればあるほど、少子化へ向かっていくのだと。
能町 その面もあると思います。
モラトリアムからの脱出のための子育て?
岡村 社会政策で少子化を防いでいる国もありますよね。例えばフランスとか。
能町 確かにフランスは増えてはいますが、そこまで劇的には、っていう感じじゃないですか。やっぱり、子供がいると人生に起伏ができて面白くなるから「欲しい」と思うんじゃないかなって。人って、小学校中学校高校と、ふしぶしでの記憶ってわりとあるけど、学生生活が終わってしまうと、区切りがなくなるからダラダラしてしまうじゃないですか。10年20年単位でだらっとしてしまうし、時の流れもどんどん早く感じてしまう。でもそこに子供という要素が入り込むと、強制的に子供の文化が入ってくる。そういった区切りがほしいから、子供がいたほうが面白いのかなと。
岡村 延々と続くモラトリアムからの脱出のために子供を育てる。
能町 そう。人生に波風を立てるために子供を作るのかなって。だから、これから先、ダラダラと続く人生に、どう区切りをつけるかというのは、考えてしまいますね。相当規模は小さくなりますけど、動物飼おうかなって(笑)。
岡村 僕も考えるときがあります。
能町 仕事場の1階に野良猫が住み着いていて、手なずけたから連れて帰りたいんですけど、3階に住んでるおばあちゃんがご飯をあげてるから、勝手に自分ちの猫にするわけにもいかないんですよ。
岡村 いいですよねえ。猫はいい。癒される。最近、猫動画ばっかり観てるから、おすすめでいっつも出てくるんですよ。あなたはどうせ猫でしょって(笑)。
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この続きは岡村靖幸さんの『幸福への道』でお楽しみください。