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「ああ、人生……終わった」
家のすぐ横にコンビニがありますので、警察に通報したのかもしれません。最後にうっすら残る記憶のなかで、刑事が「事件――」と叫ぶ声が聞こえていました。
入院しているあいだ、いつも廊下には刑事の姿がありました。何日くらい入院したか定かではありませんが、退院する数日前になると、目を開けてものが見えるようになりました。鏡で見るとイチゴのように真っ赤な目でした。何より自分の顔を見たときのショックは想像を超えていました。顔が膨れ上がり、あざだらけになっています。「ああ、人生……終わった」と鏡から目を逸らしたほどでした。