健康診断の結果という“数字の羅列”を、身体を読み解くコンパスに変える――。総合診療医・伊藤大介氏が、健康診断における「肝機能」の見方について解説します。
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健康診断の鍵は「ピラミッド」にある
「γ-GTPが基準値を少し超えているけど、放置しても問題ないだろう」
多くの人が健康診断の結果表を受け取った時、このように特定の項目に目が行きがちだと思います。結果表のA、B、C、D、E……といった判定を見て、一喜一憂するばかりの人も多い。しかし、それでは「宝の地図」であるはずの健康診断を十分に活用したとは言えません。
私は以下の図のように健康診断の結果は「ピラミッド」にして考えることが重要だと思っています。
この連載の第1回でも説明したことですが、「ピラミッド」で考える利点は、「未病」の段階から「重篤な病気」の段階に至るまで、常に自分が「ピラミッドの何段目にいるのか」を把握できることです。
実はもう一つ、大きな利点があります。それは「全ての臓器・疾患が関連している」ことが可視化されること。複数の検査項目が上段にある臓器の機能や疾患と関係していることが分かるのです。
では、実際にはどんな項目の組み合わせが、どの臓器や疾患と関係しているのでしょうか?
そこで今回は、実際に医者が重視する「検査項目の組み合わせ」を紹介します。読者の方々は「医者は、こんなところを見ているの!?」と、その意外性に驚かれることもたくさん出てくると思います。