1996年、まさに人気絶頂期を迎えようとしていたSMAPを去った森且行は、オートレーサーになった。いつか「日本一」になるという仲間たちとの誓いを胸に。日本選手権への挑戦、転倒事故、重傷からの復活。その闘いの軌跡をあますところなく捉えたドキュメンタリーが公開!

ポスタービジュアル ©TBS

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お互い日本一になろう。自分も必ず日本一になるから

 まだ自信を無くしたわけじゃない。仲間たちと誓ったじゃないか。お互い日本一になろうって。あの約束があるから、簡単にあきらめるわけにはいかない。

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 オートレーサー、森且行(かつゆき)、50歳。公営ギャンブル・オートレースのトップレーサーだ。レース場では「元SMAPメンバー、森且行」とアナウンスされる。SMAPといえば旧ジャニーズ事務所に所属し、8年前の解散まで長らく日本を代表するアイドルグループとして頂点に君臨。森は結成時からのメンバーだった。だが1996年、冠番組の『SMAP×SMAP』が始まり、いよいよトップアイドルに、というまさにその時、グループを脱退。オートレースの道を歩み始めた。

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 1周500メートルの楕円(オーバル)のコースを6周。8台のバイクが最高時速150キロで接触ギリギリのしのぎあいを繰り広げる。「走る格闘技」とも呼ばれる世界への転身だ。こんなこと、普通あるものではない。森は当時22歳。その姿を一目見ようと、大勢の女性ファンがオートレース場に詰めかけ、「がんばってー」と声援を送る。従来のオートレースファンには面白くないだろう。

「芸能界戻れ!」

「歌うたってろ!」

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 そんなヤジがすごかったと森は振り返る。それでも、そういうヤジを力に変えてきたという。それだけオートレースが好きだった。幼稚園の頃、父親に連れられて行ったオートレース場。バイクに乗って競い合うレーサーたちの姿が、当時子どもに人気だったテレビ番組のヒーロー、ゴレンジャーに見えた。公園で兄と二人、自転車でオートレースごっこを繰り返した。幼い頃のあこがれだったオートレーサーへの道に挑戦したい。そんな森をSMAPのメンバーたちは、頭を丸刈りにする断髪式を行って温かく送り出したという。

「SMAPをやめる時、お互い日本一になろうって。自分も日本一、必ずなるからって言って出てきたんで」