海外生活を機に独学で着付けを学び、その魅力を発信するインフルエンサーの長谷川普子さん。
“58歳女性”として体や心の変化についても綴り、プライベートでは4度の結婚を経験するなど、同年代の女性を中心に熱い注目を集める長谷川さんに、着物の魅力から現在のパートナーとの関係性まで話を聞いた。(全3回の1回目/続きを読む)
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パートナーに敬遠された着物
――今日はよろしくお願いします。先ほど思ったのですが、歩くのが早いですよね。
長谷川普子さん(以降、長谷川) 「着物だから歩くのが遅い」と言われるのが嫌だったので、サンダルでもブーツでも草履でも同じように歩けるようにしたいなと思って。まあ、鍛錬といいますか、慣れだと思います。
夫も最初は、いろいろと制限がかかりそうだと思ったみたいで、私が着物を着るのを嫌がってましたね。
――パートナーが着物を嫌がったのは具体的にはどんな理由で?
長谷川 夫婦で海外生活をはじめた時に着物を着始めたんですけど、目立つのが嫌、というのがまずあったみたいです。日本ですら着物を着ている人はほとんど見かけない中、海外ならなおさら、というところで。
あとはやっぱり、お手入れが大変だから行く場所が制限されるんじゃないか、というのもありました。移住先がタイだったんですけど、それで屋台とか市場に行けるの? みたいな。
――洗濯機に入れてグワングワン洗うわけにはいかないですよね。
長谷川 だから最初は、綿やポリエステルでできた洗える浴衣を着て、「汚れても平気だよ。家でも洗えるよ」という感じで、徐々にイメージをアップデートしていきました。
常夏のタイだから浴衣で過ごしたいと…
――海外生活を機に着物を着るようになったということですが、きっかけは?
長谷川 夫と結婚してからタイに移住することになった時、ふと、「タイは常夏だからずっと浴衣でいいのでは?」と思いついたんです。
あと、トランク一つでどこでも動ける人になりたい、断捨離したい、という気持ちもあり、それまで持っていた洋服もほとんど処分して、浴衣10枚を詰めてタイに移住しました。
――もともと浴衣はよく着ていた?
長谷川 私は今58歳なんですけど、高校生の時に浴衣を縫う授業があって、その中で着付けまで習ったんですね。だから浴衣だけは自分で着られたので、大人になってからもビアガーデンとかネイルサロンとか、夏場にどこか遊びに行く時には、普通に浴衣を着てたんです。
――実際にタイで浴衣を着てみて、現地での反応はいかがでしたか。
長谷川 そもそも海外の方って、他人が何を着ていようとあんまり興味がないですよね。時々は「まあ、素敵!」とかっていうのはありましたけど、ひと盛り上がりしてすぐ終了、みたいな。なので、楽でしたよ。
それでどんどん浴衣にハマっていったとき、SNSで大炎上を経験しまして。