アツアツのつゆに立ち上がるごぼうの香り
まず、つゆをひとくち。鰹節の出汁がじんわりと香る。返しがしっかり効いたくっきりしたアツアツのつゆである。そばは中太、コシもしっかり。ごぼう天は太めにカットして揚げたタイプで歯ごたえがよい。ごぼうの香りがつゆの香りと同時にじんわりと立ち上がる。どんぶりの縁が緑色なのもなんだかよい気分だ。
昭和62年創業の古参店
女性店主に、食べながら店のことを聞いてみた。店は昭和62(1987)年に創業し、今年で37年だそうである。深大寺門前と名乗るからにはそれなりの理由がしっかりある。
深大寺からやや北寄りの深大寺東町8丁目に「深大寺門前そば本舗」という老舗そば屋がある。調布市にはなくてはならない人気の名店でいつも満員御礼となっている。
「深大寺門前そば 千歳烏山店」はこちらから生そばを仕入れている。資本関係はないという。昭和62年当時、「深大寺門前そば本舗」に行き、大衆そば店をやりたいので麺を卸して欲しいとお願いすると、当時の社長さんが快諾してくれて店をスタートすることができたそうだ。
分倍河原の駅そばや仙川の「深大寺門前そば」は同じグループだった
昭和から平成の時代には同じような営業形態の「深大寺門前そば」が、仙川駅近くや分倍河原駅そばとして営業していた。自分が1990年頃、分倍河原でよく食べていた「深大寺門前そば」が千歳烏山店と同じルーツであることがようやく判明した。立ち食いそばオタクとしてはテンションが上がる。
それらの店は徐々に閉店し、現在では千歳烏山店だけが営業しているそうだ。なお立川の馬券売り場近くにあった「深大寺そば」(2016年閉店)は別経営とのこと。
本格そばで「春菊天そば」を追加注文
仕入れた生そばは毎日、午後になると店で茹でて茹で麺をつくって翌日提供しているそうだ。「深大寺門前そば本舗」が水曜定休なので、こちらは木曜定休となっている。なるほど納得だ。そんな話を聞きながらお品書きをみていると、「本格そば」というメニューがあることに気がついた。
女性店主に聞くと、調布の「深大寺門前そば本舗」が店で提供しているのと同じ生そばに麺をグレードアップできるオプションだという。それはありがたい。そこで、「春菊天そば」を「本格そば」で追加注文してみることにした。