都内の大きな病院で検査したらMRIまで撮ることに…
――長藤さん自身には違和感とか、なにか症状はあったんですか。
長藤 まったくなかったので、「卵巣が腫れている」と言われても全然ピンとこなくて。ただ先生も、「いずれ心配になったら一度大きな病院で診てもらってもいいかもね」くらいな感じで終わったんです。
――危機が迫っているような感じではなかったと。
長藤 まったくなくて。女性って、生理周期によって排卵日があるような感じで、卵巣が腫れやすいタイミングもあるのかな、くらいに受け止めていました。
で、温泉も行って、年が明けて初詣に行ったとき、「今年一年、健康で過ごせますように」と手を合わせながらお願いした瞬間、ふと、年末に言われた先生の言葉が蘇ってきてモヤモヤしてきたんです。
――健康をお願いするときに卵巣のことを思い出して。
長藤 大きな病院で「大丈夫」と太鼓判をもらえば安心できるかなと、会社から歩いてすぐの慈恵医大病院にかかったんです。
――都内の有名病院ですよね。
長藤 朝いちで行ったので、ちょっと検査してもらってすぐ営業に戻ろうと思っていたんですけど、電車に乗って別の場所でMRIまで撮ることになってしまって。
看護師から突然「今から親御さんは呼べますか」と…
――その時点で、がんといった病気が頭によぎりましたか。
長藤 全部の検査が終わったのが夕方の4時頃で、さすがに大げさじゃないかなとは思いつつも、重い病気とかはまったく考えず、ただひたすら、「大きな病院って手厚いんだなぁ」「軽い気持ちで来てしまって申し訳なかったな」と思っていました(笑)。
そうしたら個室に呼ばれて、看護師の方から、「今から親御さんは呼べますか」と言われたんです。そこではじめて、ことの重大さに気がつきました。
――検査を受けた当日にそのまま告知があった?
長藤 そうです。30分くらいで慌てて飛んできた母と一緒に、「残念ですが、卵巣がんの可能性が高いです」と言われました。