関係者は「とても長く、大変な道のりでした」と語った
私は、全国赤十字大会のとき以上に雅子さまが出席されたことに驚き、当日の取材現場で美智子さまと雅子さまのご様子を注視していた。天皇陛下が退位されることはすでに決まっており、2年に一度というタイミングを考えると、美智子さまにとっては最後の「フローレンス・ナイチンゲール記章授与式」になるであろうと思っていたからだ。雅子さまのご出席について、ある関係者は「授与式へのお出ましを誠に嬉しく思います。とても長く、大変な道のりでした」と語った。
その言葉の真意を理解できたように思ったのは、式典が終わり、東京プリンスホテルの車寄せでの雅子さまのお振る舞いを拝見してからだ。お帰りになる美智子さまをお見送りされるとき、妃殿下方の列から一歩前に歩み出られるのは、雅子さまだけだった。雅子さまは、背筋をまっすぐに伸ばして美智子さまと顔を合わせておられ、美智子さまがお車に乗り込まれるとき、車両が走り出したとき、そして車両が右折してホテルの敷地を出るときの計3回にわたって、腰を90度に曲げられて深々とお辞儀をなさった。
ほんの一瞬の出来事ではあったが、美智子さまが名誉総裁として取り仕切られている式典へのご出席が、雅子さまにとっていかに緊張を強いられることか、垣間見た思いがした。元来、雅子さまは真面目で完璧主義なご性格でいらっしゃるという。たとえば、お召し物やお帽子の身に着け方ひとつにしても、「お好きでよろしいんですよ」と担当者が伝えても、どのように身に着けることが一番正しいのか、何度もお尋ねになるのだという。
女性皇族方の華やかな装い
女性皇族方の華やかな装いは、宮中晩餐や東京・元赤坂の赤坂御苑で行われる園遊会などの場でも大きな注目を集める。このところ園遊会では、洋装と和装を2回ずつ繰り返すという暗黙のルールが続いているようだ。雅子さまは、2015年秋の園遊会から続けて出席されている。女性皇族方の間では、何色をお召しになるかお尋ねになることもあるようで、色とりどりのドレスや訪問着をお持ちになっている所以のひとつといえるのかもしれない。今年の秋の園遊会は、通例通りであれば洋装でお出ましになることが予想されるが、果たしてどうなるだろうか。