自殺死亡率が高いのは東北・北陸地方
昨年の自殺死亡率が多い地域を都道府県別で見てみる。居住地別では、秋田県が最も多く、23.8。ついで青森県の21.3、岩手県と愛媛県が同じで20.7、新潟県(20.0)、富山県(19.6)や福島県(19.3)、山形県(18.7)も続く。東北地方や北陸地方が多い。
一方で、自殺死亡率が低いのは奈良県の13.5。ついで岡山県の13.6、大阪府の14.0。神奈川県と京都府が14.1、滋賀県の14.9となっている。関西地方が目立つ。
自殺率が高い地域はストレスが高いのだろうか?
メディプラス研究所が全国20〜69歳の女性7万人を対象にした「ココロの体力測定」によると、女性のストレスオフ度を推定した「ストレスオフ県ランキング」では、自殺死亡率1位の秋田県は、ストレスオフでも最下位となっている。しかし、自殺死亡率3位の愛媛県が、ストレスオフでは1位になっている。ストレスが少ない地域だからといって、自殺死亡率が低いとも限らないということなのか。
自殺総合対策推進センターの金子善博・自殺実態・統計分析室長は秋田県の自殺対策に関わった経験がある。
「高齢化を理由にする意見もあるが、秋田の高齢者は東京の高齢者よりも自殺死亡率が高い。また、県民性という意見もあったが、たしかに40年間は自殺率が高い。しかし、それ以前は平均か、平均以下。自殺死亡率が高いところは、生活するのに大変な人が多い地域だ。土地柄というわけではない」
男女別に統計を比較すると……
ただ一方で、自治体の福祉、医療、介護などの施策や利便性がよいため、精神障害のある人がその地域に住むということもある可能性もあるという。
「残念ながら精神障害は自殺死亡のリスクですが、そういう人に優しい地域であるから集まる。結果として、その地域の見かけの自殺者数が目立っているという可能性もあるのではないか」
それでは、男女別に見てみよう。男性全体では23.5。なかでも、秋田県の35.5。全体の順位と変わらず最多だ。2番目も同じく青森県で、33.5。愛媛県も30.2と3番目となっている。ついで、富山県(29.4)、岩手県(28.5)。さらには宮崎県(28.2)や鹿児島県(28.2)と、南九州も後を追う。
逆に少ないのは大阪府の19.2。神奈川県の19.6、京都府の19.8の3県が20.0を割っている。岡山県(20.1)や奈良県(20.4)も20台の前半となっている。関西地方が多い。
女性で見てみると、全体では9.9。男性と比べると、半数以下となっている。最も多いのは新潟県で13.6。男性では10位だが、女性ではワースト1位となった。ついで、男性でワースト1位の秋田県とワースト5位の岩手県が同じで13.4。また、男性でワースト3位だった愛媛県(12.2)が続く。山形県(12.1)や福島県(12.0)と、上位に東北地方が多いが、全体としては低位の関西地方では、和歌山県(12.0)が入ってくる。