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軍隊のような日々

 ヮタクシの判決の期間は11ヶ月半だったんだけど、最長2年間まで収容期間があるの。ヮタクシのようなオカマっぽい子がそんな軍隊みたいな生活に馴染めるわけがないと思ってたけど、人って適応能力があるから不思議ね。

『全てアレン様が正しいでございます』より

 独房の時は朝7時に起床してからずっと内省と読書、運動はラジオ体操だけで、ノイローゼになりそうだったわ。でも、集団寮になると朝7時に起床して、点呼、朝食、授業、午後の行事や作業。夕方に帰ってきて夕食後は作文や読書、夜の8時から1時間だけテレビ視聴が認められて、9時5分には就寝。お風呂は夏は週3回、冬は週2回、運動の時間がある日はシャワーが特別に許可されるけど、時間が短くて大変だったわ。

 そんな毎日を過ごしていたら、余計なことを考える余裕なんてなかったのよ。だって、夜9時に寝て朝7時に起きるんだけど、そうなると10時間寝ているわけじゃない? 普通なら寝すぎって思うでしょ。でも毎日かなり気も張ってるし、自由がなくてギチギチのスケジュールって結構疲れるものなのよ。だって歩く時も「こう」、止まる時も「こう」っていう絶対的なルールがあるから、何一つ自由な動きはできないし。だから毎日張り詰めて行動している分、夜もすぐ寝ちゃってたわ。

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慌ただしく過ぎる毎日

 寮にいる間は当然だけど、自由がないじゃない? だから自分の心の変化の実感も正直ないのよね。1日のスケジュールが細かく割り決められているから、日々の作業をこなすので精一杯だったの。唯一、作文の時間に自分をゆっくり見つめ直すとか、幼少期からの自分を振り返るっていう時間があるんだけど、毎日いろいろなことをこなしているから、どうしても流れ作業のようになってしまった時もあったわ。

 そうやって、少年院の中のみんなは必然的に生活リズムが勝手に変わっていくの。どれだけ不良してて、どれだけ生活リズムが狂ってたとしても、1ヶ月ぐらいで元に戻るし、栄養があるものをいっぱい食べるから、体も健康的に回復していく。体が変わるにつれて、人格もニュートラルに戻っていく感じがしたわ。

 規則正しい生活の中で、「これが普通なんだ」とか、「やっちゃダメって分かってて、なんでやっちゃったんだろう」とか考えるから、1年ぐらい経つ頃には、ある程度の常識が身についていて、気がついたら自分が変わってる実感があったの。