三浦 私は爪を黒やシルバーに塗っていることが多かったので、本屋で働いていた時に、年配の男性客から、「何だ、その黒い爪は」と言われたことがあります。でも、「綺麗ですよねー。自分で塗ったんですよ」と堂々としていると、「うん、まあ…」と相手がひるんで(笑)、認められるようになっていくので、あまり気にしてませんでしたね。女性のお客さまは、「あなたの爪、いいわね」と声をかけてくださる方も結構多くいらっしゃいました。
昔は爪のお手入れが健康に関係するという考えも浸透していませんでしたし、そもそもマニキュアをしている人自体がそんなに多くなかったので、珍しいというのはあったのかもしれません。
私は「マニキュアOK」の職場でしか働いたことがないのでよくわかりませんが、飲食店をはじめとする接客業だけでなく、社内の人と接することが主なはずの事務のお仕事でも、「マニキュア不可」のところが多かったような気がします。
スカジャンで選考会に出たら失礼?
――その時代に比べると、いまはネイルをしている人が増え、ネイルの認知度も上がりました。最近はネイルをしている男性も時々見かけます。
三浦 とってもいいことですよね。性別や年齢に関係なく、メイクもネイルもファッションも、好きな格好をみんなが自由に選べる世の中だといいなとずっと思っています。
私はスカジャンが好きなのでよく着ているのですが、とある選考会で講評の中継動画を見た方から、「場にそぐわない」「失礼だ」とコメントが寄せられたことがあって驚きました。「選考会」と聞くとフォーマルな場をイメージされる方が多いのかもしれませんが、長時間にわたって真剣に議論を交わす、体力的にも精神的にも過酷な現場です。各自がリラックスできる格好でなければパフォーマンスは維持できません。
選考委員として授賞式に出席する際は、ちゃんとおしゃれをしていきますけど、選考会はラフな恰好の方が多いと思います。そもそも服装規定なんかないのがこの仕事なので、たとえ受賞者や選考委員が授賞式にボロボロの服を着ていったとしても、誰も何も言わないし、「失礼」とも思われないです。「好きなかっこすりゃいい」で終わりです。