かつて便器が真っ赤に染まるほどの血尿に悩み、それを止めるための手術をした医療ジャーナリストの長田昭二(おさだ・しょうじ)氏。しかし血尿は治まったものの、長田氏のカラダには「新たな変化」が…。氏が「女性との性交渉をやめる」きっかけになったある出来事とは? 新刊『末期がん「おひとりさま」でも大丈夫』(文藝春秋)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

抗がん剤治療を受ける前の筆者こと長田昭二氏 ©文藝春秋

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半年ぶりに見る透明な尿

 2020年7月6日、僕は東海大学医学部付属病院に入院して、HIFU焼灼術を受けた。治療には今回も手術室が使われ、全身麻酔下で行われた。超音波を発する器械を肛門から挿入し、直腸越しに前立腺に照射する。照射自体は痛みも熱さも感じることはないのだが、断面が3×2.5センチほどもある器械を肛門に入れるので、麻酔がなければ痛くてたまらないだろう。

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 HIFU焼灼術は90分ほどで終了し、治療そのものは成功した。狙ったがん組織は焼き尽くすことができ、それまで続いていた血尿もピタリと止まった。

 HIFUを受ける直前の僕の血尿はひどいものだった。尿というよりもはや血液を排出しているような感じで、排尿後の便器は真っ赤に染まってしまっていた。駅などの公共施設のトイレで排尿する時は特に恥ずかしかった。後ろに並ばれると、白い便器を真っ赤な尿が染めていく様子を見られてしまう。こちらも恥ずかしいが、それを目撃する後ろの人のショックも大きかろう。そのため後ろに人が並ぶような混み合ったトイレで排尿する時、僕はあえて個室を使うようになっていた。

 それだけに、ほぼ半年ぶりに見る透明な尿は、健康のありがたさをしみじみと感じさせた。

 一方、驚いた現象がある。射精しなくなったのだ。いや、実際には射精はしているのだが、精液が外に出て来なくなったのだ。