「宮司にならないか」と誘いが...
――そうした中で、 奈良県の国会議員秘書の方から駒形大重神社の宮司にならないかといったお誘いが?
村山 有難いことにそういったお話を戴きました。幼少期に、10年間奈良に住んでいたので、ご縁を感じました。ですが、奉職していた龍ケ崎の神社を辞める気は、全くなかったのです。当時私は、出仕という見習いの身分でした。神社は、上から「宮司」「禰宜」「権禰宜」「出仕」となっており、大きな神社ですと「権宮司」という身分もあります。いずれはこちらの神社で身分が上がり、そのままご奉仕出来ればと考えておりました。ところが、予期せぬことが起こり、大学の先生、神社庁、先輩方にも相談したところ、他の神社に移った方がようにではと勧められたのです。そうした状況の中、ずっと熱心に駒形大重神社の宮司にならないかとお声を掛け続けて頂いていたので意を決しました。長年、神社を守ってこられた氏子総代を始め、役員の方々も面接の際には出席されていたので、一人でも嫌だと思う方がいれば受けないつもりでした。ですが、受け入れて頂いた。本当に幸せなことですよね。
東京と奈良を行き来する生活
――60歳までお店を続けるつもりだったわけですから、大きな決断だと思います。
村山 コロナ禍になったとき、2020年4月の早い段階で、閉めるという判断も視野に入れていたのです。ただ、休日に1人で誰もいないお店の中で座って、ボーっと何時間も自問自答し、折角移転してお店も広くなり、理想の店作りが出来たのだから、もう少しスタッフと一緒に頑張ってみようと、また、資金の返済もありますし、出来るだけやってから閉めようと。時間はかかりましたが、お陰様で銀座のお店にかかった費用は、ちょうど先月に完済しました。ホッとしています(笑)。
――2024年4月に駒形大重神社の宮司に就任されて、半年以上が経過しました。
村山 今は、東京と奈良を行ったり来たりの生活が続いていますが、3年以内には自分のお給料が出るまでにしたいと考えています。
神社は宮司次第で変わるもの
――その点は気になるところで、例えばご祈祷やお守り、絵馬、あるいは賽銭などが神社の収益となり、その中からお給料が捻出されるということでよろしいのでしょうか?
村山 はい。ただし、元から神社の収益であったお賽銭は、今まで通り神社のものであると、分けて考えております。自分の分は自分で稼がなければいけないと思っているので、例えば新たに神社でイベントを開催したり、今までにはなかった駒形大重神社の授与品などを新たに作ったり、その収入で利益が出た場合です。全て、氏子総代始め役員の方々と相談しながら知恵を絞り、新しいアイデアを考え行動する事は楽しいですし、得意分野です。一番大切な事は、神様が喜んでくれること、その事を常に考えながらご奉仕しております。
――カフェが併設してあったり、ライトアップしたり、映えスポットを作ったり、神社によってさまざまです。私たちが思う以上に、神社には自由な気風がありますよね。
村山 そう思います。神社は、宮司さん次第で変わるものだと思うのですね。