駒形大重神社の御祭神は、駒形神と滋野貞主命、学問の神、結びの神、穀物の神。本殿後ろには駒形山、山の神。そして、今年150年振りに改修された、境内摂社には八幡神社、春日神社、市杵島神社、神明神社、琴平神社が祀られており、多くの神様に守られている神社です。

 参拝者の方々が、清々しい気持ち、良い気を受け取れた様に思える神社、そしてここからご縁が広がっていければ、こんなに嬉しい事はないと思っております。そうした神社になるよう、氏子崇敬者の方々と共に、進んでいきたいと思っております。

©原田達夫/文藝春秋

キャリアを変える上で大切なのは「準備ができているかどうか」

――縁の運気をもたらす神社、行ってみたくなります。それに、村山さんにあやかりたいという人は多いと思います。

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村山 私は専攻科を卒業した後、大学院に3年通い、神道や神社について自分なりに勉強してきたつもりです。ですが、まだまだスタートしたばかりで、学ぶことが沢山あり、実力不足だと指摘されても仕方がありません。日々、勉強中です。就任式のときは、宮司が泣いたら元も子もないのに、感極まって泣いてしまったくらい(苦笑)。一方で、多くの方とのご縁もあり、宮司になったからこそ出来る事もある。先祖代々、神社を応援してくださる氏子さんが、摂社・階段・鳥居に続き、本殿内も約150年振りに改修する予定をしております。

 来年は、新たな神事を執り行う予定で、その日に間に合うように、2月に「仮殿遷座祭」、3月に「本遷座祭」を執り行います。氏子崇敬者の方々、そして先輩方にご協力して頂きながら、例大祭始め、貴重な神事を執り行えている事は、本当に有難い事です。先述した松本市の深志神社の牟禮仁宮司様が、私の晴れ舞台でもある宮司就任式の祝詞を整え考えてくれたのです、何とも不思議なご縁だと有難く思っております。そして、未熟者だと自覚しながら、神様に素直な気持ちでご奉仕してゆきます。

©原田達夫/文藝春秋

――ママを経て学び直しで大学生に。事業を立ち上げ、再びママに。そして、今は宮司。“異色すぎる”とも言えるキャリアを歩んできた中で、村山さんは何を心がけてきたのか教えてください。

村山 仕事を変えることは、割と簡単なことだと思うのですね。私からすれば、一つのことを続ける方が難しいことだと思っています。ですから、キャリアを変えることはそんなに難しいことではないと思っています。一つのことを続けるというのは、ものすごく忍耐力を伴います。私には、その忍耐力はない。だから、変えてきたとも言えるのですが、変えるのであれば、そのための準備は欠かせませんよね。必要な準備と環境づくりが可能であるか――ということは心がけていたような気がします。

 例えば、準備段階で誰かに迷惑がかかる様な事はしないです。自分できちんと準備出来るか、その問いに対して考える。そうすると、3年後、5年後、10年後が見えてくると思います。同時に、計画が明確になれば、最悪の場合も考えられる。最悪の場合になった際、どの様に対応するか、ここも始める前に決めています。そうすると、最後を決めているので、そこで覚悟は出来ているから何が起こっても大丈夫です。最悪の場合なんて滅多に訪れません(笑)。今の私は、70歳までは宮司をきちんと続けることを目標にしています。そのために何をしなければいけないか、1000年先に思いを寄せ、考え、行動し続けたいです。