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外国人を阻む「言語の壁」と「指導対局の少なさ」

 今回の国際将棋フォーラムで行われた「都市対抗世界こども将棋団体戦」は、準決勝までをインターネットで対戦し、決勝を日本で行なった。セルゲイさんは優勝したベラルーシのチームの引率者である。

 団体戦は1チーム3名で行われ、ベラルーシのエースはバルコー・パブロ君(13歳)だ。

ベラルーシ子ども選手と引率のセルゲイさん

「国では将棋クラブや家で対面で指すことの方が多いです。プロに興味はないかって? うーん、それは考えてないです。いろいろと壁があるから。でもアマチュア強豪として、将来も続けていきたいです」

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 セルゲイさんは「彼はベラルーシのヤング世代NO.1です」という。彼のように有望な子から将来棋士が誕生すれば、将棋は世界へ大きく広まることになるのだが。

「海外の人が日本のプロを目指すのには、すごい壁があります。将棋に関する書籍、定跡本や詰将棋を取り寄せていますが日本語版しかありません。英語版があれば、もっとたくさんの人が読めるのですが。あと、プロの方と指導対局で指せる機会がもっと欲しいです。

 現在ベラルーシには強いアマチュアレベル、四、五段の人は数人いるのですが、そこから奨励会、プロへと行く道が見えてこない。我々の中からヨーロッパ・チャンピオンは何人か誕生したのだけれど、そのレベルに到達した段階で、周りに対等に戦える相手がいなくなってしまう。彼らはもっと強くなりたいと望んでいる。そのためにも、プロの指導を肌で感じられたらと思っています」

セルゲイさんは「実は伊藤匠叡王と指したことがあるんですよ」と言った

 これまでに海外から奨励会に入った例としては、2010年に将棋が盛んに指されている中国・上海からツアン・シンさん(当時14歳)が6級で入会した。外国居住者の試験合格は初めてのことだった。東京都内の支援者の家に下宿しながら学校にも通い、将棋の勉強を続けたが、20歳の年齢制限により退会になっている。

 最後にセルゲイさんは「実は伊藤匠叡王と指したことがあるんですよ」と言った。2013年のヨーロッパ選手権・ワールドオープンの部で、当時10歳の伊藤匠少年が優勝したときに対戦したのだという。

「私は26歳でした。彼は小さいけれど、すごく強かった。今年、藤井聡太さんからタイトルを獲ったことは、もちろん知っています。あのときに彼と対戦できたのは光栄ですね」

写真=野澤亘伸

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