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どのように「将来の天皇」を教育するべきか――戦後の皇室の「子育て」方針とは?

NHKが元東宮侍従の日誌を発掘

2018/06/01
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子どもとともに学び、象徴天皇制について考える

 こうした皇太子夫妻の方針は、「君主教育」の場でも展開されていく。1977年12月、明仁皇太子は誕生日を前にした記者会見で、徳仁親王とともに「歴史上名を残された各天皇方の事績」を「一緒にお聴きになっている」ことについて述べた。天皇の歴史を知ることによって、「自分自身の中に、皇族はどうあるべきかということが、次第に形作られてくるのではないかと期待してい」たという。

 次代の「象徴」として模索を続けていた明仁皇太子は、天皇制の歴史を自身の子どもが学ぶことで、同じように「象徴」とは何かを考えて欲しいと思ったのだろうか。子どもとともに学ぶという姿勢を持ち、象徴天皇制について考えていたのである。ここでの教育は、現在の徳仁皇太子にも引き継がれているように思われる。

2018年2月、談笑される皇太子ご一家 宮内庁提供

 来年、新天皇が即位すると、現在の皇室典範の規定によれば、悠仁親王が皇位継承順位第2位となる。悠仁親王はこれまでの皇族の慣習とは異なり、学習院初等科に入学せず、お茶の水女子大学附属小学校に在学している。創立100年以上の伝統を誇る名門女子大・お茶の水女子大の附属であるこの小学校は、文科省が「研究開発学校」に指定したこともある“実験校”で、社会参加をするために必要な能力を育むことを目指し、進歩的な「シティズンシップ(市民)教育」を積極的に取り入れているという。悠仁親王が通うこの学校では、今までとは違った皇族教育が展開されている。現在、小学6年の悠仁親王の今後の進学はどうなるのか。やはり現代社会にふさわしいあり方が模索されていくのではないだろうか。

小学校最後の運動会で、「大玉おくり」の競技に参加された悠仁さま ©JMPA
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