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「わずかというのは何だ」

 私はもはや怒りを抑えることができませんでした。

「俺はお前を決定的に嫌いになったよ。場合によっては、総理大臣になる資格を持つ清和会の会長を金で買おうとは何事だ。いくら入っているのか知らんが、これぐらいの金で総裁の地位を手に入れられると思っているのか」

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 一喝したら、下村君はますます滑稽なことを言いました。

「いや、2つ入ってます」

 紙袋の大きさからすると、中身は200万円ではなく、2000万円。だから、「俺は許さん。持って帰れ」と突き返したんです。ただし彼のことだから、あとで何を言い出すかわからん。なので、このやりとりは秘書に証人になってもらいました。

「下村さんがこんなものを持ってきたけど、俺は受け取らないから、君から返しなさい」〉

 つまり、当事者の一方である森元首相が事実関係を完全に認めたのだが、それでも下村氏は訴訟を継続していた。

「原告は訴えを全部取り下げます」

 ところが、下村氏は10月27日の衆院選で落選すると、11月22日になって「訴えの取下書」を提出。取下書には、代理人である熊谷信太郎弁護士ら3名の記名・押印に加え、こう記されている。

〈頭書事件について、原告は、訴えを全部取り下げます〉

下村博文氏 ©文藝春秋

 提訴した際には記者会見を開き、小誌記事を事実無根と訴えていた下村氏。今後、どのように説明責任を果たすのか、注目が集まる。

 森功氏は、下村氏が訴えを取り下げた事実について、「文藝春秋 電子版」及び「文藝春秋」2025年1月号に掲載された記事「重大証言 安倍派を壊した男たち」で言及している。

 同記事では、安倍派5人衆の一人だった世耕弘成衆議院議員や、稲田朋美元防衛相、鈴木英敬衆院議員、塩崎彰久衆院議員ら有力議員にもインタビューを実施。西村康稔元経済産業相が、西田昌司参院議員から安倍派がキックバックを継続した理由について問い詰められた際、「(ある議員から)泣きつかれてやむなくやった」と説明していたことについても詳報している。