1ページ目から読む
5/5ページ目

彼らにとっては「マスメディアとの対立」は最大の養分の一つだ。メディアに取り上げられないという主張を自由にできる環境こそ「美味しい展開」なのだ。

したがって解はよりシンプルになる。

メディアは選挙の現場から学んで臆せずトリックスターの意味を分析し、光を照らしたほうがいい。光を当てることによって、影もまた伸びてくるものだ。彼らの行いもまた詳細に報じることでバランスはおのずと取れてくる。

ADVERTISEMENT

トリックスターの存在をどう判断するかは、最終的には読者や視聴者を含めた有権者のものだ。冷静かつ合理的な人々が解を与えること。これを信じずに民主主義は成立しえない。

石戸 諭(いしど・さとる)
記者/ノンフィクションライター
1984年、東京都生まれ。立命館大学卒業後、毎日新聞社に入社。2016年、BuzzFeed Japanに移籍。2018年に独立し、フリーランスのノンフィクションライターとして雑誌・ウェブ媒体に寄稿。2020年、「ニューズウィーク日本版」の特集「百田尚樹現象」にて第26回「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」作品賞を受賞した。2021年、「『自粛警察』の正体」(「文藝春秋」)で、第1回PEP ジャーナリズム大賞を受賞。著書に『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房)、『ルポ 百田尚樹現象』(小学館)『ニュースの未来』(光文社)『視えない線を歩く』(講談社)『「嫌われ者」の正体 日本のトリックスター』(新潮新書)がある。