連続テレビ小説(以下、朝ドラ)『おむすび』(NHK)が、12月末で折り返し地点を迎えるが、残念ながら評価はあまり良くない。
前クールの朝ドラ『虎に翼』(NHK)の人気を受けて、第1話の平均視聴率は16.8%(ビデオリサーチ社調べ、関東地区)と高かったが、その後、視聴率はじわじわと下降しており、現在(12月)は14~13%台(同)を行き来しており、近年の朝ドラでは一番低い数字となっている。
テレビ全体の視聴率が低下している中、2010年代後半は平均視聴率20%が当たり前だった朝ドラも2020年以降は下降しており、あれだけ話題になった『虎に翼』ですら全話の平均視聴率は16.8%(同)と、20%には届いていない。
現在は世帯視聴率よりも個人視聴率が重視されており、NHKプラスやTVerの見逃し配信やNetflixやNHKオンデマンドといったストリーミングサービスなど視聴方法は多様化している、何より朝ドラは再放送が多いため視聴率のみで評価を下すことはナンセンスだ。
ただ『おむすび』の場合は内容に関しても批判が多く、「SNSでは批判の声が多い」という趣旨のネットニュースが序盤に大量投下されたことで「批判してもいい朝ドラ」という空気が早い段階で醸成されてしまった。
作品としての『おむすび』を、筆者は一貫して高く評価している
はじめに立場をはっきりさせておくが、本稿では『おむすび』に対する批判や反撥が多い理由について考察はするが、作品としての『おむすび』に対しては、筆者は一貫して高く評価している。
『おむすび』は、栄養士を目指すギャル・米田結(橋本環奈)が平成という時代を駆け抜けていく物語だ。時代は2004年の福岡県糸島から始まり、まずは高校生になった結の日常が描かれた。
友人に誘われ、書道部に入った結は、農業を営む実家の仕事を手伝いながら学園生活を真面目に過ごす傍ら、姉の歩(仲里依紗)が伝説のギャルだったことから、ギャルのチーム・ハギャレン(博多ギャル連合)に誘われる。
物語は高校の書道部とストリートのハギャレンを往復する結の姿を見せていく。部活パートは矢口史靖監督の『ウォーターボーイズ』や『スウィングガール』といった部活映画のノリで、ギャルたちとのやりとりは中島哲也監督の『下妻物語』や宮藤官九郎脚本のテレビドラマ『木更津キャッツアイ』(TBS系)のノリになっており、00年代に流行った青春モノの映画やドラマのエッセンスが込められている。