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 ガラケーの写真を見ると、こんなに怖かったっけ?と思うし、もしかしたら今の子はVHSよりiPhone 4の映像のほうが怖いかも?みたいな想像も勝手にしていて。不安な気持ちになるのはすごく人間的で面白いです。

 

砂嵐やカラーバーはなぜ恐怖の対象になるのか?

──地デジ化以前はテレビの放送が終わるとザーッと砂嵐になって、怖かったです。

大森 僕も幼稚園の頃ギリギリ通っているので砂嵐に対する怖さはありますし、今でも深夜にピーっという音と共に流れるカラーバーは恐怖の対象になると思いますね。

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──Vaporwave(※)からの影響も強く感じますが、どのような印象をお持ちですか。

大森 大学生の頃にMacintosh Plus、猫 シ Corp.、2814といった海外のアーティストが好きで聴いてたことは結構大きいかもしれないです。アメリカのFordやPepsiといった大量生産・大量消費時代のものがモチーフに使われることが多いんですけど、そういうザ・ノスタルジー的なものがチョップド&スクリュードで歪まされ、ループされる感覚が、ものすごく体に染み込んでくる感じがありました。

 面白いのは、そこには僕にとってのノスタルジーは存在していないわけです。世代的にまったく通っていないので。不気味なものも多いのに、そこに異常に引きつけられたり郷愁を感じてしまう。架空のノスタルジーみたいなものが生み出されるのは、もしかしたらZ世代が今VHSテープの映像を見て感じているものと近いかもしれないな、と。ノスタルジーがなくても“上の世代がみんなノスタルジーを感じているものだ”という情報があれば、そこに自分も徐々に感じ始める。僕がアメリカのVaporwaveに持った感情と近いところはあると思います。シティポップ・ブームとも近いところに根がある感じはしますね。