戸部田 あはは(笑)。いや、そんなことないです。逆に僕は好きなほうだと思います。
山田 本当ですか? スキマさんがテレビについてよくつぶやいているツイッターの監視は、僕、けっこう厳しいですよ(笑)。
“漫才道”的な雰囲気には惹かれないです
戸部田 僕はむしろ、「ライブだけがホンモノ」みたいな感じでテレビに背を向ける芸人さんたちのほうが苦手ですね。
山田 なるほど。だってテレビっ子ですもんね。スキマさんにとって一番価値のある戦場というのはそこ。僕もそうです。テレビに出てなんぼやという。じゃあ、昨今、漫才をしている若手芸人の界隈に、“漫才道”的な雰囲気が流れているのは。
戸部田 価値観としては色々あっていいと思うんですけど、僕はあんまり、それには惹かれないです。
山田 なるほど。僕と一緒ですね(笑)。うちの事務所の(カンニング)竹山さんが昔、「賞レースに勝つだけが道じゃない。芸能界には裏から梯子かけて登るところもある」とおっしゃっていて、そのイズムを浴びている人間なので、やっぱりテレビに出て、ご飯食べられてなんぼという気持ちでこの仕事を始めているから、ちょっと違和感があるんですよね。「正統派の漫才をやっているんだからいいんだ」みたいな、感じはあまり好きじゃない。
マスを相手に、いかに戦っていくか
戸部田 やっぱり僕が興味があるのは、マスを相手に戦う人。
山田 じゃあ、やっぱりそんなに一発屋好きじゃないじゃないですか。
戸部田 え、なんでですか?
山田 今や一発屋たちはマスで戦っていないですから。
戸部田 いや、でもそれはマスで戦った結果でしょう(笑)。
山田 誰が敗戦処理や(笑)! でも、一度は戦った人間としてのリスペクトはいただけているんですね。
戸部田 もちろん、もちろん。今も戦ってらっしゃるじゃないですか。すごくリスペクトしてます。
山田 ありがとうございます(笑)。だから今日、スキマさんの『全部やれ。』という立派な本と、角突き合わせていますけど、言うたら、日テレのつくり手のことを描いたこの本は、一発屋からするとものすごい上空の話なんですよ。
戸部田 でも、やっぱりどちらもマスを相手に、いかに戦っていくかを描いた本だと思うんですよね。