「これまでの防犯の常識が全く通用しない相手」
警視庁で刑事や公安部捜査官の経験を持つ日本カウンターインテリジェンス協会の稲村悠氏は、闇バイト強盗の犯行をこう語る。
“在宅でも安心できない”これまでの防犯意識とのギャップ
「一連の事件は『不在かどうかの下見をしつつ、住人が在宅でも、あまり関係なく脅して金を奪う』という発想で行われています。これまで家の防犯といえば、不在のタイミングを知られないことが大切だったが、今は在宅でも安心できないという、これまでの防犯意識とのギャップが生まれている」
押し入ってくるのは、指示役に脅され、通話を繋いだ状態で命令を受ける闇バイト。“使い捨て”の暴漢に対しては、センサーライトや防犯カメラの設置が抑止に繋がるとは限らない。
飛び込み営業やアポなし訪問は拒否
強盗から身を守るには、何よりもまず、我が家をトクリュウの標的にさせないことに尽きる。そのためには、見知らぬ相手からの飛び込み電話やアポなしの訪問者を拒否すること。
犯罪に詳しいジャーナリストの多田文明氏が語る。
「闇バイト強盗の背景には資産状況や家の間取り、家族構成などの個人情報が網羅された“闇名簿”が存在すると考えた方がよい。その情報収集や犯行の下準備として行われるのが、警察、役所を装った電話や、設備点検やリフォームを謳う飛び込みの営業やアポなし訪問なのです」
たとえば、市役所職員を名乗る電話があり、「高齢者世帯の生活調査」などに答えてしまえば、おのずと個人情報が筒抜けになる。
「警戒心から本物かどうか確かめようとするのもNG。話せば話すほど情報は洩れます。すぐに電話を切る。気になるなら相手が名乗った所属先にこちらから連絡をする。『いらない服などありませんか』と出張下取りを騙る“押し買い”の電話も拒否しましょう」(同前)