言い分の微妙なシフトに味わいがある
このことは私だけでなく当然マスコミも気づいた。
《安倍首相、新愛媛文書を否定も菅氏発言とは食い違い》(日刊スポーツWEB 5月23日)
《午前と午後で、「新・愛媛文書」の内容に関する首相の発言が微妙にずれた。》
そして最終的に官邸記録ではなく「首相動静も確かめた」とする言い分にシフトした。
しかし、こうなるともっと大きな味わいどころが発生するのである。
あれだけ朝日新聞を敵視していた安倍首相が、もしかすると朝日新聞の「首相動静」を盾にとって自分の正しさを言い始めたかもしれない、という皮肉である。
首相が言う「首相動静」とは一般的な名称かもしれないし、他の通信社などもそういう記事のタイトルにしているが、野次馬的には朝日の「首相動静」と憶測したくなってしまう。なぜなら安倍首相が熟読を勧める読売新聞の「安倍首相の一日」ではなく、もし朝日新聞の「首相動静」を熟読して潔白を言い始めたなら……。安倍首相が愛媛新文書にどれだけ「詰められて」ピンチなのかわかる。
加計学園からの謎FAX
すると5月26日、加計学園から1枚のFAXがマスコミに送られてきた。
《「実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出し、県と市に誤った情報を与えてしまったように思うとの事でした」とコメントを発表。当時の担当者に記憶の範囲で確認したという。》(朝日新聞 5月27日)
安倍首相と加計孝太郎氏の面会はなかったのに、加計学園は「あった」と嘘をついて愛媛県に報告していたというのである。
このエクストリーム展開! 離れ業!
愛媛から次々に文書が出て、詰将棋で言えば絶体絶命だったが「そもそも将棋などない」という展開になったのだ。このパターン、いろいろ見てきたけど今回のが最強で最悪の匂いがする。
ただ、ここまで離れ業の言い訳が発射されるのも、5月22日の朝の初動ミスに象徴される慌てぶりがあったからだろう。
安倍首相の午前と午後の食い違い発言、そして「首相動静を盾にして反論」の流れ。今回は読み比べの醍醐味がかなりありました。