改正法によれば、確認申請や完了検査が必要になってくるのは「大規模な修繕・模様替え」のとき。「主要構造部(筆者注:外周の壁・柱・梁・2階の床・屋根・階段)の一種以上を、過半にわたり修繕、模様替え」する場合とされています。つまり、住宅の構造部分に大きく手を加える工事のときだけなのです。
例えば塗装などはもちろんのこと、外周の壁、2階の床、そして屋根などに手を加える場合でも、骨組み部分にまでは手をつけず、床板や壁板、屋根板など表面の部材の張り替えや、上から覆うように新しい部材を張るカバー工法のような工事なら全く問題ありません。外壁や床の「下地の合板」を外して断熱材を補充するくらいも大丈夫と考えられます。
また、1階の床や、室内にある間仕切りの壁については主要構造部に該当しないので、比較的自由に手を加えられる可能性が高いでしょう。
さらに、もし主要構造部に手を加えるような工事の場合でも、その範囲が建物全体の半分以下であれば「大規模な修繕」とは見なされません。2階の床や外壁、屋根などは面積の1/2以下、柱や梁は本数の半分以下の工事であれば「申請・審査」なしでリフォーム工事を行うことが可能です。
「世の中のリフォームのほとんど」はどちらに当てはまるのか?
改正後、新たに「申請・審査」が必要になりそうなリフォーム工事には次のようなものが考えられます。
・過半の外壁を撤去し、構造材(柱や梁)を補強・交換する工事
・面積の半分以上の2階床板を外し、根太や梁を補修・交換する工事
・屋根の骨組みに手を加え、屋根形状を変える工事
・既存建物の外側に新たな部屋を増設する、または部分的に取り壊す工事
・内壁や柱の多くを撤去して間取りを大幅に変更する工事
さて、こうやって工事のリストを見てみると、「申請・審査」が必要なケースは素人目にも「いや、そりゃ少しは縛りが必要だろ」って工事ばかりだと思いませんか?
そうなんです。実は今まで「重要な構造」に手を加える大規模なリフォーム工事でも「申請・審査」が不要なケースは多かったため、工事後のトラブルが問題となっておりました。今回の法改正には、危険なリフォーム工事を未然に防ぐ意味合いもあるのです。